読書について | 知財弁護士の本棚

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企業法務を専門とする弁護士です(登録30年目)。特に、知的財産法と国際取引法(英文契約書)を得意としています。

ルネス総合法律事務所 弁護士 木村耕太郎

 ドイツの哲学者ショウペンハウエルは、読書とは他人にものを考えてもらうことであり、読書ばかりしているのは自分で思考する能力のない人がすることだと言っている。(岩波文庫「読書について 他二篇 」)。


 これに対して、マイクロソフト日本法人元社長の成毛氏は、本を読むか読まないかが、人間とサルの分かれ目、ないし成功者と普通の人の分かれ目だと言っている(成毛眞「本は10冊同時に読め! 」)。


 私は、言っている内容は成毛氏が正しいと思う(そうでないと、1日に2冊も3冊も本を買っている私は大変なことになる)。しかし、ショウペンハウエルの言葉の根底には、何となく人間への愛が感じられるのに対して、成毛氏の言葉にはそれがない。だから、同意はしても共感はできない。毒舌には愛が必要、というのが私の持論である。


 ただし、私がショウペンハウエルのファンかと言うと、そうでもない。ショウペンハウエルは自分ではほとんど稼ぎがなかったにもかかわらず、裕福な銀行家の息子として何ら生活に困ることなく一生を過ごしたという。そういう生き方をした点が、私はどうも好きになれない。