サッカー審判TIPS(727) 霧の中の試合
2020年11月18日早朝(日本時間)にオーストリアのグラーツで行われたメキシコ代表との国際強化試合をTV中継で見た。
後半途中から霧が立ち込め始めて視界が悪くなった。TVの画面ではどこにボールがあるかわからない。
また、そこにいるのが誰なのかもわからない。しかしながらカメラは争点からさほどずれることなく試合を追いかけているので現場ではもう少し良く見えたのかもしれない。
20年ほど前に少年団の合宿が群馬県の高原で行われた。その際に朝早く試合があり、私は副審を務めた。
それが霧の中の試合だった。少年用の小さいピッチなのに反対側のタッチラインのプレーがよく見えない。
縦にボールが出てもオフサイドの判定が難しい。
霧の中から急にボールが出てくることもしばしば。審判もそうだが選手もやりにくかっただろう。
本当にこんな中で試合を続けるのかよ、という思いを持ったのを覚えている。
で、代表戦。
途中でボールがオレンジ色のカラーボールに交換された。これで画面でもボールの位置がある程度わかるようにはなった。しかし、視界の悪さは変わらない。
副審も遠いサイドでのプレーは見えないだろうし、主審だってかなり近づかないと判定ができなかったのではなかろうか。
サッカーは雷が鳴らない限り雨でも霧でも行うスポーツだが、視界が悪くて判定に支障がある場合は一時中断してもよいのではないだろうかとも考えてみた。
でも早朝の試合であれば徐々に霧が晴れることが予想できるが、現地の夜10時半だとこれから更に冷え込むことになり霧が濃くなることはあっても晴れるという期待はできないだろう。
残り10分、15分だ、このまま突っ走ろうと審判も考えたかもしれない。国際放送の時間枠もあっただろうし。
試合結果はご存じの通り。決められる時に点を取っておかないと格上のチームは怖い。霧で視界が悪いのはお互い様だから言い訳はできないが前半の視界が良いときに日本が点を取っていたら試合は違ったものになっていただろう。
オシムが住むグラーツでの試合だった。良い結果を届けたかった。