サッカー審判TIPS(719) 審判活動は仕事に役立つ
サッカー審判をやることが社会人として仕事にどのように役立つか考察してみた。
■健康面
自身でサッカーチームに所属し、活動をしている人はもちろん、自分では選手としてプレーはしていないが自主的に審判活動をしている場合。
運動、特に有酸素運動を定期的に行うということは身体の健康にとって当然良いことである。週末の試合のために平日にランニングやストレッチなどの運動をしているのであればなおさら、週に1日だけの活動であっても、運動をしない人に比べたらはるかに良い。
■サッカー観戦面
テレビやフィールドでの観戦にあたり、サポーターとして勝利を願う立場での観戦、選手目線や監督目線での攻守の動きや戦術を注視した観戦に加え、審判目線での観戦ができる、という新たな観戦方法が身に付く。主審の位置取り、アクション、選手とのコミュニケーションなど選手側の視点からの観戦は多くの人がするが審判の立場での観戦も試合を立体的に捉えることができる。
■競技規則の理解
競技規則ってすごく固い文章でよみにくい、って思いがち。
しかしこれは誤解を避けるため、誰が読んでも同じように伝わるようにするために工夫がされているのだ。
用語の統一・・・ピッチ、フィールド、競技者、交代で退いた競技者、ゴールキーパーが自陣のペナルティエリア内で手に触れる場合を除く、とか。
たとえば第1条にこんな文言がある。
タッチラインは、ゴールラインより長くなければならない。
サッカーの試合では横長の長方形ではだめですよということだ。
これは当たり前で、だれもが疑わず、したがって書かなくてもわかるコモンセンスではある。
しかしながら、当たり前のことも条文で「定義」として表現しないと、つまり誰が読んでも同じように解釈されるようにしておかないといけないのだ。
これは会社間で契約を結ぶような場合でも同じで、まずは言葉の定義をしてから、契約の内容の説明になる。普段から仕事で契約書を見ている人にとっては競技規則を読むことは苦にならないだろう。
学生など、これから社会に出て契約書を読む機会があるだろう人には良い練習になる。
漫画で読むルール解説とかあればな~と思っている人は、小学生向けのルール解説であればそれでも良いけど、楽な方を向かないで生の競技規則の表現に慣れておくべきと思う。
場合によっては英文の競技規則にも目を通せば面白いこともわかる。
(例えば、「ハンドの反則」は a handball offence だし、ボールを手で扱うことはhandling the ball という表現。仕事でも「この件をハンドルする(=扱う)」という言い方をする。「ハンドの反則」ではなく「ハンドリングの反則」というのがより正確)
■コミュニケーション能力
主審の場合特にそうだが、競技者から試合中によく文句を言われる。審判に対して汚い言葉で文句を言うのはまずいということはわかっているのか、丁寧な(慇懃無礼な)言葉使いながらも今の判定には納得できないというにおいをプンプンさせて迫ってくる者がいる。そのような者に対して適切な対応ができるようになれば、社会人として活動をしている中で想定外の事が起こっても取り乱したりせず落ち着いた対応ができるようになるだろうと思う。
部下に対して、顧客に対して、丁寧に説明し理解させるように話すことができることは大切。どのような言葉遣いで、どのような態度で接するのか。少年サッカー、シニアサッカー、若者のサッカーなど異なる年代の相手によって柔軟にコミュニケーションが取れれば仕事でだってうまくできると思う。
挑戦的な態度で向かってくる競技者に対して冷静に対応し、説明できれば仕事でクレーマー対応もできるかもしれない。
■チームプレー
主審、副審、第4の審判のセットとして試合をコントロールしていく面白さ。
主審のジャッジがしやすいように他の審判がサポートする、補完する。試合前に打合せをして判定の基準などを合わせておく。めったに発生しない事態になったときの対応、など仕事においての危機管理と同じだ。
そういうことを経験するとなんだか会社組織のミニチュア版だなーと思う。
で、結論。
サッカー審判は仕事や社会人生活を送る上でも役に立つ!