サッカー審判TIPS(646) 見えてしまった「ハンド」 | サッカー審判KenKenのブログ

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サッカー審判TIPS(646)
見えてしまった「ハンド」

先日の試合で副審をしていたときのこと。
ペナルティエリア内の副審に近い側でボールの奪い合いが発生。
攻撃側競技者が自分がよろけてバランスを崩しながらも脚の間にボールを収めた。
しかし倒れて両手を前について四つん這いの体勢になってしまった。
すると膝に当たったボールが手に当たってしまった。
その場面は副審からは見えたが主審には陰になっていた。
ハンドという声も上がったが、攻撃側競技者はすぐ立ち上がってキックした。
ボールはゴールラインを割った。
なのでハンドをアピールした守備側競技者も特にそれ以上何も言わず、試合はゴールキックで再開。
ハンドリングが発生したのはゴールエリアの近く。再開の位置としてはゴールキックと
ほとんど変わらない場所。
だから結果オーライなのだが、審判としてはまずい。
ハンドを犯した本人と、対応した守備側競技者はわかっていたのだから、結果はほとんど同じとはいえ
副審が旗を上げなかったことは「見落としたんだな」と思われてしまいこの後の判定への信頼にも関わってくる。
再開場所と方法がほとんど同じとはいえ、厳密に言うとゴールキックからはオフサイドがないが直接フリーキック
ではオフサイドがある。
縦が短いピッチやキック力のあるキーパー、風向きなどによってはゴールキックが重要な攻撃オプションに
なり得る。
実を言うとこのとき一瞬「あれ?こいつ守備側の選手だったっけ?それならPKになっちまう。主審は陰で見えな
いかもしれない。
PKだとしたら俺が旗を上げちゃって良いのか?あ、攻撃側だったか」と頭の中をぐるぐると思考が回ってタイミン
グを逸したというのが実情。暑くて頭が回らなかったというのが言い訳。
では守備側の競技者が同じことをやったらどうだろう。
主審からは見えていない。しかしペナルティエリア内の守備側選手の反則はPKにつながる場合があるので副審が積極的に旗を振らないようにとも言われている。
しかし実際目の前でボールが手に当たるのが見えてしまった。たぶん主審は見えていないのでこちらが合図をし
なければならない。
ゴールラインの方に走り、主審を見てシークレットサイン(ワッペンに手を当てる、とか腹をさするとか事前に相談)
を出す。
攻撃側が「ハンドだ」と騒ぐかもしれない。そのとき主審が副審の位置としぐさに気づけばPKを示すだろう。
もし主審が流せば何事もなかったようにプレーの監視に戻る、という感じだろうか。
副審のやつ、見えてたはずなのに旗を上げなかったと攻撃側に恨まれるかもしれない。
だがファウルが攻撃側か守備側かで微妙に対応を変えなければならないというのも難しいところだ。