サッカー審判TIPS(429)
あの退場、あの警告はかわいそうか
アジアカップ第2戦、シリア戦。
川島が退場となりシリアにPKが与えられたシーン。
川島が倒した相手選手はオフサイドポジションにいた。
そこにボールが出た瞬間、副審は旗を上げた。しかし主審は川島の反則を取り、ペナルティスポットを指しPKを宣告。
副審が旗を上げたということで日本代表はベンチスタッフも含め猛講義。
しかし、主審は旗に気がついていなかったわけではない。PKを指示しながら旗を下げるようなジェスチャーをしていた。
主審が副審と打ち合わせに行ったのは、たぶんこんなことを言うためだろう。
「シリアの選手からパスが出たのであればオフサイドなのでキミの旗は正しい。しかしあのボールは日本の選手が蹴ったものなのでオフサイドにはならない。それは近くで見ていた私が日本選手が蹴ったと判断したのだから従ってください。」
シリア選手から出たボールであれば川島のファウルの前に旗が上がっているので川島が相手を倒す前にオフサイドと判定されるはず。(ボールに触れる前だが、相手GKとの接触が予想される場合は触れる前にオフサイドと判定していいはず)
本当のところはわからないが、日本選手が蹴ったのでオフサイドではない、ということだろう。
また、川島が相手を倒したのは事実だが、ボールを取りに行こうとして交錯したのだから退場は厳しいと個人的には思う。しかし、わざとであろうとなかろうとファウルがなければ無人のゴールに入れられるところだったので「決定的得点機会の阻止」と判定されたのは仕方が無いことだ。
次に、試合終了間際。
相手ペナルティエリアのすぐ外で岡崎が倒されフリーキックを獲得。
キッカーの本田はボールの上に足を置いて隣に立つ選手(岡崎だったっけ?)にちょんと転がそうとする体勢。
ボールがインプレーになった、としてシリアの選手がボールに足を置いた本田のところに駆け寄りチャージ。
しかし、主審はシリアの選手に警告。これがその選手2回目の警告ということで退場となった。
スロービデオで見ると、本田はボールに足を置いて少し動かしている。
つまり、ボールが動いた→インプレーになった、と(私もシリアの選手も)思ったのだ。
だからシリアの選手が駆け寄ってチャージしたのだろう。
しかし警告となった。
これは、インプレーになる前に距離を詰めたことによるものと思われる。
では、本田がボールを動かしたのはインプレーとはならないのか。
競技規則123ページのフリーキックの進め方には「ボールは蹴られて移動したときにインプレーとなる」とある。
だから、ボールに足を置いて動かした程度ではインプレーとはならないのだろう。
細かいことかもしれないが、やはり審判の判定は正しかったのだろう。(と、無理やり納得)