サッカー審判TIPS(269)
副審はピッチには入れない、か?
答えはNoだ。
副審は、自分の近くでフリーキックが行なわれるときなどは旗を真上に上げたままピッチに入り、争点まで行って壁を下げさせるなどの主審の補助となる行為をすることができる。
今回の話題は、それほどしっかりとピッチに入る話ではなく、半歩から1歩ピッチに足を踏み入れることについてだ。
通常副審はタッチライン沿いにラインの外側を走る。
選手がタッチライン沿いにドリブルして来るとだんだんラインから離れてしまう人がいるが、それは先回りして判定していただくことでなるべくラインから離れないことにしよう。
副審が走る範囲は、おおむねタッチラインから50cm~1mの範囲だ。
PKなどがあるとゴールラインまで回り込んでペナルティエリアのラインの内側まで行くことがあるが、PKのない試合だと本当にタッチラインの上下動だけだ。
副審は一歩たりともタッチラインの内側に足を踏み入れてはいけないと思っている人が多いようだが、そんなことはない。
私はこんな場合にピッチに半歩くらい足を踏み入れる。
例えばこちら側のタッチラインの相手陣地方面にボールがあるとき。(自分のエンド側のチームが左サイドから攻めているとき)
ラインを割るかどうかを見るために、あえてピッチ内に右足を踏み入れてタッチラインをまたいで監視するのだ。タッチラインに正対して立ち、首を曲げて判定するよりも「しっかり見ているな」という印象を与えられる。
また、オフサイドを取ったときにもピッチに足を踏み入れるチャンスだ。
特に、遠い方のオフサイドを取って旗を斜め上に上げるときに、右足を一歩踏み入れて「あっちだよ」と旗を持った右手をグイッと伸ばして左足を爪先立ちさせる。
けっこうピシッとして美しいのではないだろうか。
かつてセリエAの試合で、副審が3歩くらいピッチに入って遠くのオフサイドを指示していた映像を見たことがある。「おいおい、あんなに中に入っちゃうのか」と思ったが背筋も伸びててけっこうカッコイイなと思った。
副審も目立たなくちゃ!