サッカー審判TIPS(173) ゴールキーパーの入れ替え | サッカー審判KenKenのブログ

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ゴールキーパーの入れ替え


正確に言うならば「ゴールキーパーの入れ替わり」だろう。
あじの開きではなく、「あじの開かれ」があじの立場に立てば正しいし、かつおのたたきではなく我々が食べるのは「かつおの叩かれ」となる。それと同じだ。



冗談はさておき、第3条に「ゴールキーパーの入れ替え」が書かれている。
他のポジションの選手が試合中あるいは後半開始からポジションを変えようといちいち主審に報告する必要はない。
某赤いチームのセンターバックが試合中に攻撃参加し、そのままFWのポジションでプレーを続けるのはしょっちゅうだし、サイドバックが左右入れ替わるのもたまに発生する。

ところがゴールキーパーだけは勝手に入れ替わることができない。勝手にというのは「主審の承認を得ないで」ということだ。「キーパー代わります」と宣言するだけで入れ替われるのであればこんなことが発生する。


ドリブルするフォワードの選手がペナルティエリア内でゴールキーパーをかわした。
枠に飛んだシュートをカバーに入ったディフェンダーの選手が「今からゴールキーパーと代わります!」と宣言して手でボールをキャッチなりディフレクティング(deflect:死語か?)したりすることが可能になってしまう。

また、ゴールキーパーは他の選手と異なる色のユニフォームを着なければならない。(第4条)
だから、宣言と承認だけではなく、着替えも必要なのだ。

ということで、通常は試合中にフィールドの選手が着替えてゴールキーパーになることはあり得ない。
ただし、交代枠を使い切ったあとのゴールキーパー負傷によるフィールド選手の代役ということはプロの試合でも発生する。
岩本輝雄と松田直樹が急造ゴールキーパーをやったのを見たことがある。

さて、少年の試合ではたまに後半からゴールキーパーがフィールドの選手として出ることがある。
前半で点差がついて、キーパーがヒマだったから後半はフィールドで出してやろうという監督の配慮があってのことで、お疲れさんのフォワードの選手と入れ替わったりする。
その際、単純にキーパージャージとユニフォームを取替えっこして出場してしまったりする。

私が主審をしているときに、実際にこのようなケースがあった。
ハーフタイムが終わり、後半が始まる前に入場する選手達に「後半から入った人いる?」と尋ねるのだが、入れ替わったフィールドの選手もゴールキーパーも前半から出場していたのでこの問いかけにスルーしてしまったのだ。
体格が明らかに異なれば気づいたかもしれないが、そのまま気づかず後半を開始。そして、プレー中に前半とゴールキーパーが違っていることに気づいたのだ。

ルールブックにはアウトオブプレーになるまでそのままプレーさせ、その後両者に警告を与えるとある。
この場合、主審が気づいたとしてもペナルティエリア内で手を使うのを黙認しておかなければならない。



本来は、ゴールキーパーがフィールドプレーヤーで出るならばキーパージャージと同じ番号のシャツを着なければならない。キーパージャージが1番だったらフィールドのユニフォームも1番でなければならない。11番のフィールドプレーヤーがキーパーをやるのであれば11番のキーパージャージを着なければならない。
普段よくゴールキーパーをやるフィールドプレーヤーは自分の背番号のキーパージャージを用意しておくことが望ましい。
とはいってもキーパージャージは高いからこれを揃えるのはツライ。
一つの案として背番号を書いた布を用意しておき四隅にマジックテープを付けておく。
キーパージャージの背中にもこのマジックテープが付くように4箇所のメスのマジックテープを付けておく。これで同じジャージを使いまわしできる。

ユニフォーム規定には、「背番号は縫い付けなければならない」とは書いていない。
マジックテープで用は足りるはずだが、厳密に言うとこれでは不十分だ。
試合中にはずれてヒラヒラすることもあり得る。特にフィールドプレーヤーは接触プレーの機会が多いためユニフォームと背番号の隙間に指が入り、はずれるおそれが高まる。
効率とコストの兼ね合いが大切だが、四隅だけでなくできるだけ多くの箇所で固定するようにするしかないだろう。