サッカー審判TIPS(161)
ケガ人への対応(2)
前回はケガ人をピッチ内で治療させない、ということを書いた。
今回もケガ人の話だ。
プレー中に足がつって倒れこんでいる選手が出たとしよう。
倒れてうずくまっている選手がいると「ボールを出せ」という声があちこちから(倒れている選手側のチームからも。味方が攻められているからか)聞こえ、せっかくチャンス到来とばかりに攻めに入ったチームが攻撃の中断を余儀なくさせられることがある。
プレーを切ったあとはスローインを受けた選手が相手陣地に深く蹴りこんでボールを返すという美しい貸し借りが行なわれるが、肝心のケガ人は大したことがないケースが多い。
もちろん重篤な場合もあるがそれは倒れ方を見ていればそして倒れた後の動きを見ればわかると思う。
足がつったのだったら一生懸命ふくらはぎを伸ばそうとする動作をするだろう。
捻挫だったら足首を押さえるだろう。
いずれもプレーを止めて早急に治療しなければならないものではない。
片方のチームがしばらくの間10人になってしまうというだけのことである。
私だったら足がつっただけだとわかったらプレーを切ってほしくない。「はい、続けましょう~」と声をかけてプレー続行をうながすかもしれない。
捻挫だったとしても「治療が即座に必要なもの」ではなかろう。次のアウトオブプレーを待ってドクターを入れるなり外に出すなりすればよいと思う。
だから審判に、特に主審に求められるのは怪我の度合いを瞬時に見極めることだ。
プレーを停めなければいけないのは
■倒れ方がおかしいとき
■倒れてから動きが不自然なとき(ピクリとも動かないとか)
■出血が見られるとき
■頭や腹部を強打した可能性があるとき
■手足であっても骨折の疑いがあるとき
■GKが倒れているとき
だと思われる。
特に夏季の試合だと熱射病なども心配である。倒れる際に何が原因だったか(接触があったのか)よく見ておくことだ。
相手選手との接触が原因だったとしてもファウルでなくフェアなプレーの中での強打だったら、それは選手が倒れていてもプレーを続けさせたい。
ちょっと厳しいかい?