サッカー審判TIPS(136) フラッグテクニック(2) | サッカー審判KenKenのブログ

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フラッグテクニック(2)

前回に引き続き、ルールブックの中のフラッグテクニックについての記述を考察する。

副審は、次のシグナルを示す方の手で旗を上げる。
以前から何度か触れているように、守備側のファウルの場合、攻撃側にFKが与えられるので右手で旗を上げ、笛が吹かれたらそのまま右手を攻撃方向に斜めに倒す。逆に攻撃側のファウルの場合は左手で上げて、笛のあとそのまま左手を斜めに倒す。通常は左手で旗を持っているので、守備側ファウルのときは右手に旗を持ち替えて上げることになる。
主審側から見れば、副審が右手で上げたファウルの合図を認識しても、攻撃側選手がゴールに向かっているなどの状況であれば「アドバンテージ」を宣告して旗を降ろさせることもできるし、もちろんそのままファウルを採用してもよい。そういう選択ができるからこのような副審のシグナルは有用なのである。


状況が変わり、次のシグナルをもう一方の手で行なわなければならなくなった場合、副審は腰より低い位置で反対の手に旗を持ち替える。
自分が旗を上げたのと逆方向を主審が示した場合を言っているのだが、どういうケースがあるだろう。自分がスローインだと思って旗を上げたが、主審はスローインになる前のプレーで反則を取り、それによって旗を逆向きにしなければならない場合など。あるいは単純に指し違い、主審が「ワンタッチあったよ」などのシグナルを出していた場合などが考えられる。
上げた旗を頭上で持ち替えるのは、もちろん最短距離を動かすので素早いシグナル変更が可能だ。
しかしこのような場合、一旦自分が出したシグナルをリセットするという意味も込めて旗を降ろしてあらためて逆方向に上げると考えよう。頭上での持ち替えは連続した動作、連続した指示に取れる。
そうではなくて一度チャラにして指し直しということで下で持ち替えてあらためてビシッと旗を上げるのが見ていて気持ちがよい。


副審は、ボールがアウトオブプレーになったことをシグナルするときは、主審がそれを認識するまでシグナルし続ける。
ボールがラインを割ったかどうかは主審の位置からよりも副審の位置からの方が正確に判断できる。
だからラインを割ったかどうかのジャッジは副審の判定に従うのが原則だ。
そして、通常のプレーの中でファウルを受けた側が有利になる場合はアドバンテージを適用するが、ボールがラインを割ったことに対してはアドバンテージはない。
守備側が触れたボールがタッチライン沿いに転がり、一瞬アウトオブプレーになったが追いついた攻撃側の選手がドリブルを開始したような場合、スローインを省略して攻撃側にプレーを続けさせることはできないことはわかるだろう。だから無情かもしれないけど旗を上げるのだ。
またゴールラインをぎりぎり越えた位置からのクロスをシュートしてゴールになった場合でも主審が気づかなかったら旗を上げ続けることだ。副審から遠いサイドでそのようなプレーがあった場合は主審がすぐに副審を見ることをしなければプレーが流れてしまうこともある。


最近の審判講習会では、このフラッグテクニックを特に詳しく説明する。
実技でも左手で旗を上げたり、左手でファウルを知らせる旗振りを行なったりする練習をさせる。
それくらい副審の旗でのメッセージが大切になっているということだ。