サッカー審判TIPS(81)
選手交代の手続き
ルールブック第3条「競技者の数」のところに交代の進め方が書かれている。書き出してみよう。
競技者が交代要員と交代する場合は、次の条件を守るものとする。
(1)交代が行なわれることについて、事前に主審に通知する。
(2)交代要員は、交代によって退く競技者がフィールドの外に出た後で、しかも主審の合図を受けてからフィールドに入る。
(3)交代要員は、試合の停止中にハーフウェーラインのところからフィールドに入る。
(4)交代は、交代要員がフィールドに入ったときに完了する。
(5)その瞬間からその交代要員は競技者となり、交代して退いた競技者は競技者ではなくなる。
(6)交代して退いた競技者は、その試合に再び参加することはできない。
(7)交代要員は、出場するとしないにかかわらず、主審の権限に従い、その管轄下にある。
あー、面倒くさい。法律の条文だよね。
一つずつ見ていく。
(1)は、3人セットで審判をしている場合は第1副審(A1)が主審に合図をする。第4の審判がいる場合は、
第4の審判がボードを持って主審を呼ぶ。これらはアウトオブプレーの時に行なわれる。
A1、A2とも旗を頭上で真横に持ち、交代が行なわれることを知らせる。
第4の審判がいないときは、A1が交代選手の用具チェックを行なう。だからコーナーキックが行なわれるときに選手交代が行なわれると、A1はゴールラインからハーフウェーラインまで戻って用具チェックをしなければならないのでツライ。
主審が気づかない場合はフィールドにいる交代選手側のチームの選手が主審に知らせるとスムーズである。
(2)は、一時的にでもフィールドに12人の選手がいることがないようにということを言っている。
交代で退く選手はどこから出てもよい。時間を稼ぐためにわざわざハーフウェーラインまで歩いてきて退出するということのないようにとのことからである。ケガなどで既にフィールドの外に出ている場合は主審は交代で入る選手に手招きしてすぐに入らせてよい。
第4の審判やA1は交代選手が主審の合図の前に入らないようにする。とは言っても腕をつかんだりユニフォームを引っ張るのはダメ。体の前に自分の腕を斜めに出して、前進しないようにブロックしておく。
(4)は、交代というセレモニーが完了するのは交代選手が入ったときであるということ。つまり交代選手が入るまでは交代が終わっていないのだ。だから交代カードを出しアウトオブプレーを待っているうちに、交代される予定の選手とは別の選手(例えばキーパー)がケガなどをした場合は、交代が完了していないので交代する選手を変更してもよいのだ。
(5)交代が完了した瞬間、2人の選手は身分が入れ替わるということ。
これはどういうことかというと、交代して退く選手が審判に攻撃的な暴言を吐いたとかいう場合を考えてみよう。
フィールドを出たあと(つまり交代が完了した直後)であれば、攻撃的な暴言を吐いたのは競技者ではないので、本来はベンチに戻るべきところをロッカールームに追放される。ゲームは交代で入った選手を加えて11人で続ける。
もし、フィールドを出る前、つまり交代完了前であれば、まだ競技者の立場である。競技者が退場させられた場合は、今まさに交代で入ろうとしていた選手は入ることはできない。10人で試合を続けることとなる。
(7)は、ベンチにいる選手であろうとも警告や退場に値する行為があった場合は主審からそのような処分を受けるということだ。
細かいことだが、インプレー/アウトオブプレーの意識とともに、競技者/交代要員の区別も意識しておこう。