東大出の親の子供は同じく東大に入る可能性が高いと言います。

これは頭の良さが遺伝するのではなく、勉強の方法や環境によるものだと思っています。

 

東大法学部出身で明治大学文学部教授の齋藤孝氏の「斎藤孝のざっくり!日本史」を読むと、そんなことを強く思いました。

頭がいいとは、齋藤氏のような人を指すのでしょう。

この本には「すごいよ!ポイント」で本当の面白さが観てくる、という副題が付けられていますが、この「すごい!ポイント」という発想が本当に「すごい!」のです。

 

どういうことかというと、歴史の節目となる大きな出来事をいくつかピックアップして、そのテーマについてどこが「すごい!」のか3つのポイントで語る、というものです。

 

斎藤氏が選んだ「すごい!」出来事は、

 

①廃藩置県

②万葉仮名

③大化の改新

④仏教伝来

⑤三税一身の法

⑥鎖国

⑦殖産興業

⑧占領

 

の八つです。

この中から廃藩置県の3つの「すごい!」ポイントを見てみると、

 

①大名が一気に廃止された

②ほとんど内戦が起きなかった

③松下村塾という田舎の私塾が武士の開明化を支えた

 

という内容を挙げています。

 

廃藩置県とは、すべての藩が廃止されて府県となり、旧大名である知藩事は罷免され、代わって中央政府が派遣する府知事、県令が地方行政にあたったことで、国内の政治的統一の完成を示します。

つまり、地方行政から「お殿様」がいなくなったのです。

 

不思議なのは当時者である大名が廃藩置県をおとなしく受け入れ、ほとんど内戦が起きなかったことです。

その理由としては、「日本人というのは、一つ前例ができると、またその前例が大きいものであればあるほど、一気にそちらの方向に傾き、倒れていく傾向があ」るからです。

そして、「お殿様を守るより、藩を守るより、いまは欧米列強と対抗することの方が大切」という優先順位を間違えなかったことが日本が近代化に成功した理由である、とします。

 

また吉田松陰の松下村塾の塾生に代表されるように「明治維新は支配階級である武士自身が、自分たちの作ってきた社会は世界的に見ると時代遅れだということに気づき、自らの手で作りかえた革命だった」というポイントを指摘します。

 

内容については異論もあるかと思います。

むしろ異論があっていいのだと思います。

大事なのは、このような見方をすることです。

本当に「すごい!」と思います。

 

諸外国では、自国の歴史について語れない者は国際人として認められないそうですが、日本人は歴史に疎い人が多すぎます。

この点について、斎藤氏は、日本占領下においてアメリカが押し付けた「教育改革は悪くない感じもするのですが、いま落ち着いて振り返ってみると、それまで日本が持っていたものが全否定されてしまったため、大切なものまで失ってしまったが気がします」と書いておられます。

 

忠義だとか、孝行だといった言葉が封建的だ、という一言の前にばっさり切り捨てられ、日の丸の掲揚や君が代の斉唱すら戦時的であると言われた一時の戦後教育ほど異常なものはなく、日本の学童は歴史観において自己否定癖を刷り込まれました。

悪者にする気はないのですが、アメリカは日本に歴史を振り返ってもらいたくない理由があったからです。

東条英機ら日本人の軍人を「人道的立場」から罰した連合軍ですが、アメリカが行った広島、長崎への原爆投下は「人道的」に問題がなかったのでしょうか。

 

少し話がそれましたが、自分も含めて日本人はもっと自国の歴史に誇りを持つべきだと思います。

歴史を振り返るとき、この斎藤式「すごい!ポイント」はとても役に立つはずです。