Here I am,Nick! Here!

(俺はここにいるぜ、ニック! ここに!)

 

「ブラックレイン」は、有能だが生活のために賄賂を取ったこともあるニューヨーク市警の刑事ニック(マイケル・ダグラス)とコチコチの真面目警官である大坂府警の松本警部補(高倉健)が対立しながらも、次第に信頼と友情を深めていくという感動的な内容の映画です。

大好きな映画で、何回も観ています。

 

この映画で、残忍な悪役として強烈な印象を残したのが松田優作です。

遺作となったこの映画での演技は息を飲むほど見事なものでした。

 

松田勇作が演じるヤクザの佐藤はアメリカで殺人を犯し、日本へ送還されるのですが、その時に同行したのがニックとチャーリー(アンディ・ガルシア)でした。

 

冒頭の台詞は、佐藤の台詞で、

Almost as near as when you let Charlie die, huh?

(お前がチャーリーを見殺しにした時と同じくらい近くにな!)

と続きます。

 

目の前でチャーリーを殺した佐藤を追い掛けていたニックに対する強烈なカウンターパンチです。

逮捕されてからはずっと黙秘を続けていた佐藤が初めて英語を話すシーンでもあり、強いインパクトがありました。

巻き舌気味の英語を話す佐藤は、いかにもチンピラから成り上がったという雰囲気がよく出ていました。

 

さて、冒頭の「Here I am」ですが、ふと「Here am I」だったかな、と疑問が湧きました。

ビートルズの「Here comes the sun」という歌が思い出されたからです。

でも「Here you are」や「Here we are」というフレーズがあるよなあ、と混乱してきました。

 

調べてみると、わかりやすい解説がありました。

①主語(S)が通常(固有)名詞の場合は、V(動詞)+Sの倒置が起こり、

②主語が代名詞の場合は倒置が起こらずS+Vの語順になる、

というものです。

 

the sun は通常名詞なので、倒置が起こり、「Here comes the sun」になり

Iは代名詞なので、倒置が起こらず「Here I am」になるということです。

 

なるほど!

よくわかりました。