TAJIRI(タジリ)さんというプロレスラーがいます。

インディー団体の出身ながらアメリカのトップ団体であるWWEでトップを張ったレスラーです。

172cm、85kgとプロレスラーとしては小柄な体格なのですが、さらに背中を丸め気味にして、上目遣いで相手を睨み、英語を一切話さない。

「何を考えているのか分からない東洋人」キャラはヒール(悪役)として、アメリカで大ブレイクしました。

その後、日本に帰って来てからは「ハッスル」「新日本プロレス」や自らの団体「スマッシュ」などで今も活躍しています。

 

 

 

 

 

そのTAJIRIさんの著書に「プロレスラーは観客に何を見せているか」という本があります。

何げなく読んでみて、びっくり!

「プロレス」を「小説」と置き換えてもいいような名言が散りばめられています。

 

プロレスとはキャラクター産業である。

 

まず、しょっぱなの文に圧倒されます。

 

技は自分のキャラクターを紹介するためのツールにすぎない。

お客さんに見せるものは技自体でなく、あくまでもその技を通して見えてくるプロレスラーの「キャラクター」と、その「心情」なのだ。

 

キャラクターが「素材」で技は「調味料」

 

あるいは、

 

「導いてくれる人」に出会えるかどうかでインディー出身のレスラーの運命はある程度決まってしまう。

 

と、自分をヘルプしてくれる人の存在の大事さを説く。

 

また、

 

プロレスとはスポーツでもないし、格闘技でもない。どちらかというと、映画やマンガのような「表現の世界」ではないかと僕は考えている。

 

と一部のプロレスファンが聞いたら仰天するようなこともさらっと言いのけています。

 

リングを支配するのは「サイコロジー(心理学)」である。

 

というようなことも書いています。

 

TAJIRIさんは故・小池一夫氏の劇画塾にも通ったことがあるそうで驚きました。

 

ずっと理詰めの内容が続くのですが、一番最後になって、

 

世の中は理不尽さに満ちている。だから、世の中の縮図であるプロレスのリングにおいても、時には「理不尽なこと」が起きる必要があると僕は思うのだ。

 

と述べている辺りは氏の強い信念、プロレスに対する愛情と誇りなど、目いっぱいの感情がこもっているように思えます。

 

プロレスファンだけではなく、小説を志す人にもぜひお勧めしたいと思ういい本です。

 

 

 

 

 

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