デイリー新潮から
1937年の創刊から98年の休刊まで、洋楽の魅力と素晴らしさを読者に提供し続けた雑誌「ミュージック・ライフ」。
同誌に掲載された貴重な写真や記事を厳選した「ミュージック・ライフ大全」が3月に刊行された。
発行元のシンコーミュージック・エンタテインメントによると、
購読者の年齢構成は50歳以上が45%、30~49歳が40%で、
男女比は6対4で男性のほうが多いという。
彼ら彼女らが青春を謳歌した80年代に、同誌は最も売れた。
当時、編集長を務めた音楽評論家の東郷かおる子さんに、全盛期の思い出を語ってもらった。
リッチーとコージーのところだけ抜粋
「リッチー? 嫌い!」
――え! どうしてですか?
「何であんなに意地悪なんだろう。とにかく覚えているのは、
インタビューの交渉も大変だったんだけど、ギターについての質問することにしたんです。
それでギターに詳しいインタビュアーをつけて、
私が横で一緒に話を聞いたんです。
そうしたら、新しいギターが云々という話になって、
それはどこのメーカーですか?って聞いたんです」
「エレファントだよ」
リッチーは答えた。はて、そんなメーカーあったっけ?
ギターに詳しいインタビュアーも首をかしげる。
仕方なく東郷さんが、
「すみません、それは新しいメーカーですか?
ここにいる全員が聞いたことがない社名なんですけど」
リッチーはニヤリと笑ってこう言った。
「当たり前だよ。そんな会社ないもん。
君たちが本当にわかっているかどうか試したんだ」
リッチーのバンド、レインボーのドラマーで
「ミュージック・ライフ」では何度も単独インタビューに登場したコージー・パウエルは、
「あの人は本当にいい人。常識をわきまえている。
男らしくて日本語で言うと竹を割ったような性格です。
意地の悪いリッチーとは正反対。だからあの二人がうまくいくはずがないのよね。
でも、リッチーとコージーがいた頃のレインボーが最高なんですけど、
なかなかうまくはいかないんですよね」
7月10日はロニーの誕生日でした。