今日で何度目だろう?
「清須会議」、また見てきましたよ。
私はいわゆる子猫ちゃん(大泉のファン)なので、そっち目線で見てしまうけど、それにしても秀吉はいい。
大阪人にとってはやはり秀吉に肩入れしてみてしまうので、特に嫌な奴には思えないわけで。
対照的に描かれる勝家が愚かに見えるわけで。
清須入りする場面でも勝家はのんびり空を見て「変わらないなー」と。
一方秀吉側は民衆(下)を見て、お館様亡き後の変わってしまった空気を察している。
勝家が織田家とお市様しか見ていないのに対して、秀吉は常にその先を見ている。
いや、もう勝家さん、織田家の事など、お市様の次になってるし。
織田家を乗っ取るつもりだと本音を言い、利家に刀を突きつけられても、「わしを斬れば戦の世はあと百年続く、それでもいいなら斬れ!」と言い切る秀吉のかっこよさ。
私、もう、すっかりデカ耳と禿頭は気にならなくなってます、むしろカッコイイ。
本音を聞いた利家、ここで始めて名古屋弁だか、「早く逃げろ」の方言が出ます。利家さん、それまで秀吉の考えが分からなかったんですね。ここで気を許したんですよね。
この時は親父殿についていくといって別れましたが、その後は歴史が物語ってますね。
勝家に命を狙われ、逆に勝家の懐にかくまってくれと転がり込み、勝家の弱音とも取れる心境を聞いているときの秀吉の冷めたまなざし。瞬きしてないですよ、このとき。
「そのとき、わしの居場所は無いか?」
「残念ながら」
ここでフッと表情が変わるのですよ。これが良い。
奥さんの寧といる時の可愛らしさも良い。
メリハリのある演技が良い。
しょっぱなの山崎の合戦の時、信孝の「父上と兄上の仇は私が取る!!」との宣言の後ろで
馬鹿にしたようにニヤリと笑う顔が良い。
利家に「どうぞ、斬ってちょ!」と両手を広げる場面もいい。
いつもは黄色ベースの派手な着物を着ている秀吉が長秀の所に乗り込むときは地味な色だった。
あれもなにか考えがあるんだろうねー。
とにかく良くできていたと思う。
爆笑コメディだと思って見た人は肩透かしを食らうかもしれないけど、これは「清須会議」の前後を描く人間喜劇なのだ。三谷さん、毎回毎回同じことはしません。
人物の名前がテロップで出る事もなく、ナレーションもない。
実力ある俳優が表情、目で演技するのだからナレーションなどいらない。
そのあたり、舞台的なんだと思う。清須城を舞台とした。
勝家は長秀に「もう会うこともあるまい」といった。
利家は秀吉に「また会おう」といった。
見た人はこの後の歴史をざっくり調べて欲しい。
エンドロールのあとの「エイエイオー!!」の勝どきの声の意味が分かるとかなり切ないのであります。