私は職場では日中、紅茶か緑茶を飲むことが多い。500mlのタンブラーにティーバッグを入れて熱湯を注ぐタイプだ。
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一日中職場にいるときは一杯では足りず、2杯、3杯と飲んでしまうこともあるのだが、そのとき私は、ティーバッグを入れっぱなしにして、熱湯を注ぎ出す方式をとっていた。
しかしそうしていると、当たり前ではあるが、だんだんと味は薄くなり、最終的にはもうほとんどお湯を飲んでいるだけのような感じになってしまう。
生来の貧乏性のせいか、無意識にそうしてしまっているが、私は思った。
そろそろ、一回で使い捨てていい歳なんじゃないかと。
現在32歳で社会人10年目、そこそこベテランである。イチロー選手がメジャーリーグで262安打を打ったのは31歳の頃である。その当時のイチロー選手より今の私は歳上なのだ。そんな年齢になったのだから、ティーバッグは一回で使い捨てていいのではないか。
ティーバッグの説明にも「20〜30秒たったら取り出してください」と書いている。20〜30秒どころか、絶好調の日は9時間ほど入れっぱなしの時もある。まったく説明通りにやらない、反骨精神にあふれた男なのである。しかしそれも今日で終わりだ。
私はタンブラーにティーバッグを入れ、ゆっくりと熱湯を注いだ。湯気とともにいい香りが広がる。今日の紅茶はマスカットティーだ。
30秒たったであろうか。説明通りだったらもうそろそろ取り出してもいいが、私は心の中で(まだだ…まだすべてを出し切っていないはずだ…!)と思っていた。
しかしそれでは駄目なのだ。一回で使い切る、そう決めたのだ。
私は意を決して、ティーバッグを取り出した。そして三角コーナーにそっと捨てた。
ついにやった。私はやったのだ。ティーバッグを一回で使い切るとう難題をクリアしたのだ!
人はいつ大人になるのだろうか。20歳になった時? 初めてお酒を飲んだ時? 社会人になって自立した時?
違う、ティーバッグを一回で使い切った時だ。
32歳、社会人10年目──大人になって勇壮に佇む男の姿が、そこにはあったのだった。
(完)
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前回の更新で【最終回】の表記がありましたが、このブログではなく、マイナビニュースさんの連載が、ということでした。まぎらわしくて申し訳ございません!
そしてまたマイナビニュースさんでは別の連載をさせていただきますので、そちらも引き続き可愛がってあげていただければ幸いです。
ここ最近は私生活が立て込んで満足に更新もできておりませんでしたが、そろそろ心機一転更新を再開していこうかと思いますので、生暖かい目で見守っていただければ幸いです!
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(おまけ)
ティーバッグの裏に書かれてた、ツボに入った伊藤園俳句。
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