日本では古くから、鯛は縁起物として、祭りや祝い事には欠かせない食材となっている。我が家でも例に漏れず、新年早々は鯛めしを作って美味しくいただいた。
↑土鍋で丸ごと炊き込んで、アラで鯛汁を作りました。
この鯛めしと鯛汁を食べながら私は「いやあ、めでタイねえ」と呟いたのだが、そこで気付いてしまったことがある。
私は鯛を食べるときに、確実に「めでタイ」と言っていると。
この時は正月ということもあり、確かにめでたいことには違いなかったが、私自身は「正月をめでたい」と思ったというよりも、鯛を見て反射的に「めでタイねえ」と言ってしまったのだ。
私は息をするようにしょうもないギャグを言い放っていたのだ。なんという浅はかさだろうか。
例えば、梅を食べるたびに「梅はうめえ」とかいう人がいたら、間違いなく「いちいちうるせえな!」と怒ってしまうが、私自身もそう言われてもおかしくないような立場にあるのだ。
そんな中、私は友人たちと魚がうまい居酒屋で新年会を行った。メンバーは6人程度で、いずれも気の知れた仲間だ。
魚がメインなので、刺身や煮付けを日本酒でいただいた。何度も来ているが、いつでも美味い。我々はだんだんと酒がまわり、どんどんと饒舌になっていった。
会も中盤に差し掛かった頃、友人の1人が「鯛の刺身」と「鯛のおかしら」を頼んだ。少し値は張るが、新年1発目だ。私も「いいね!」といって注文を後押しした。
そして鯛がテーブルに運ばれて来た。
その到着した鯛を見るや否や。
「おお、めでたい」
「めでてえ」
「予想以上のめでたさ」
「いやーこれはめでたい」
「うん、めでたい」
全員もれなく、言ったのだった。
もはやこれは私だけではなく、日本人における紳士的な「たしなみ」のようなものだと、そう思ったのだった。






