大人になったのを実感した瞬間ですか?
ひとりで焼肉を食べた時ですかね。
自宅で。
(木村書房刊「この肉が焼けるまで」より抜粋)
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焼肉といえば、家族でワイワイしたりカップルでキャッキャしながら楽しむイベントと思われがちだが、焼肉ほどひとりで楽しめるものはないというのが私の持論だ。
最近、巷では「ひとり焼肉」がブームで、焼肉屋にひとりで行くことが普通にはなって来ているが、私の提唱するひとり焼肉は、あくまで自宅で楽しむものだ。
なぜならそこには、圧倒的なコストパフォーマンスと自由度が存在しているからである。
そんなエクストリーム体験をぜひ知ってもらいたく、今日は私の焼肉ソロ活動内容を報告したいと思う。
さあ、祭りの始まりだ!
「こんなに一人で食えねーよ」という声が聞こえてくるかと思うが、それは当然である。こんなに一人で食べれるわけがない。そのため、ちゃんと食べるぶんだけ取り分ける必要がある。
そしてセッティングにはいる。
カセットコンロで使うタイプのものだが、部屋でやるとにおいが付いてしまうので、換気扇の下で楽しむ。
しかし私ぐらい洗練されたシティの男になると、そんなことぐらいでは慌てることはない。
焼肉のお供といえばビールが定番だが、今は家で飲まないようにしているので、もうひとつの定番である、ご飯を用意した。
韓国海苔と温玉をのせた贅沢なご飯だ。
お祭り騒ぎはもはや最高潮に達していた。
台所でご飯を食べるなんてはしたない、などと思うなかれ。別に誰も見ていないんだから問題ない。それに換気扇のおかげで、部屋にもニオイが残らず、まるで何事もなかったようにその後を過ごすことができる。最高だ。
そんな感じで楽しんでいたのだが、祭りの終焉は突然やってきた。
張り切りすぎて、自分の許容量がよくわからなくなってしまった。しかし祭りで浮かれてしまうのは人間として当然のことである。
私はこの肉にラップをかけ、冷蔵庫にそっとしまって、後日また開催される焼肉祭りに思いを馳せた。
「後の祭り」という言葉はネガティヴな意味を持つが、私は焼肉を二回楽しめる「後の祭り」を思うと、なんだかワクワクが止まらないのであった。














