日頃から「豚野郎」と親しまれている私ですが、果たして本当に自分は豚野郎なのか? と疑問に思うこともあります。
私自身はシティでも指折りの豚野郎だと思っているのですが、実は豚野郎でもなんでもなく、ただの変態サラリーマンなのではないか──? そう考えると、不安で夜も眠れなくなります。
そんな私にうってつけの店がありました。
会社の近くにあるのですが、この名前の潔さはまさしく豚野郎です。昼食時に行くと必ず長蛇の列ができていて、お昼休み中に席へ戻れないという人気店です。
しかし本当の豚野郎になるためには、私はここで男にならないといけないと思い、勇気を振り絞って店内に入りました。
濃厚なタレを炭火焼にしているため、店内は豚の香ばしいにおいに包まれています。このにおいを嗅いでいるだけでも体半分が豚野郎になっていくのがわかります。
そして豚丼が差し出されます。
この照り!まさしく豚野郎です。
私は食べる前に、ゆっくりと目を閉じてこの香ばしいにおいを楽しみました。豚肉を食べれる喜び、そして、この世に生を受けた喜びを噛み締めていただきました。
──!!!!
ひと口食べた瞬間、自分自身が本当の豚野郎になっていくことを感じました。身体の底から豚力が湧き上がり、そのパワーは一瞬で全身を駆け巡っていきます。右手を見てみると、うっすらとオーラが出ているのがわかります。
この芳醇な豚丼を食べ終えてしまうのが惜しくて、私はひと口ひと口、ゆっくりと時間をかけて食べました。しかしその幸せな時間もやがて終わりを迎えます。私は涙をぐっとこらえ、最後のひと口を噛み締めました。心の中で豚神様へ最敬礼をして、そっと席を立ちました。
食べ終えた私は店を出て、ガラスのショーウィンドウに目をやりました。強くたくましく、そして勇壮な顔つきの戦士が映っています。
そこには、まごうことなき豚野郎が立っていたのでした。





