猫挙式……
想像するだに、笑ってしまいます。
でもセンセイの希望もかっとんでました。
「披露宴はせずに、ささやかな親族だけの食事会をしたい。
二次会は友人主催で、たくさんの友人を集めてやりたいから」
そんなセンセイの言葉に、彼女はこんな提案をしてくれました。
「二次会も、うちでされてはいかが?
たくさんのご友人を招待されるなら、立食パーティーにすればいいわ。
みなさんそれぞれで楽しんでくださると思いますよ。
何人くらい、お呼びになる予定?」
この異人館、建物と庭を見渡して、室内に30人、庭に20人でいっぱい、というところです。
あはははは。
たくさんの規模が、違う。
「150人くらい」
さすがの彼女も考えこんでいました。
だいじょうぶです。
実際はそんなに集まるはずはないのです。
友人、知人にかたっぱしから声をかけていこう、というプラン。
なので、およそ半数は参加できないだろうという予想が立てられていました。
半数。
それでも、75人。
そして、150人とはいかずとも、100人くる可能性だってないわけではない。
彼女は、しばらくいろいろ検討して、こう切り出しました。
「わかった。時間制にしましょう。
お部屋に入っていただく方たちと、庭で立食される方たちを入れ替えれば、100人くらいは大丈夫」
ええと……そうすると、かなり一人当たりのスペースが狭い感じです。
混んでるクラブみたいなイメージが……
でも、一生懸命検討してくださったにはわけがあって。
「二次会を式の当日にされたいのであれば、式場と二次会会場は離れていな
い方がいい。
お嫁様が疲れないし、来ていただくお客様の負担も少ないから」
そうなのです。
二次会を式当日に、というプランは、けっこうな時間勝負体力勝負なのです。
二次会を翌日にまわしたところで、たいへんなのは一緒なのですがね(^_^;;)
(夜に一旦眠れる分楽なんですが
お嫁様はまた一から支度しないといけないのですよ~)
神戸方面で式を挙げるのに、もっとも大事な懸念材料は二次会のことでした。
もともと大阪の友人がほとんどなのだから、神戸まで出てきていただくのは大変なご足労なのです。
しかも、二次会の後よっぴいて騒ぐ可能性があるのに、宿の心配も足の心配もしなくちゃいけない。
その上、異人館で式、二次会は便利な神戸街中で、となると、お嫁様&親族の移動もけっこう大変になる……
彼女が、
「どうせなら二次会もうちでやったほうがいい」
とおっしゃってくれるのは、本当に大助かりのことなのです。
しかし、センセには、もうひとつ重大なプランがありました。
彼はこの希望をかなえるために、かなりの努力も労力も人材も時間も、惜し
みなく費やすことになりました。
ええ、すばらしい希望でしたとも。
参加された方には語り草となるイベントだったでしょうとも。
「実は、二次会でショウをしたいんですよ。
だからステージのスペースが必要なんです。
それに、照明やスピーカーなんかも設置したいんです」
センセイの言葉に、確かに、彼女は笑いました。
特別なことじゃない、と。
「ライブでもされるんですか?」
いえいえいえいえ。
そんなもんじゃありません。
「ヒーローショウを」
わずかに時が止まりました。
「ヒーローショウ」という言葉を、彼女が頭の辞書で探している間分くらい。
そうです。
遊園地や百貨店の屋上で、見たことあるかと思います。
仮面ライダーやウルトラマン、なつかしの宇宙刑事。
そういった特撮ヒーローのショウなのです。
センセイはけっしてプロではありません。
しかし、若かりしころはいろいろなステージで着ぐるみをまとい、
たくさんの子供たちを魅了してきた過去があるのです。
大学時代にいろいろ(ホントにいろいろorz)活動してきた中の一環なのです。
家にはちゃっかり、自作のオリジナルヒーローの着ぐるみ一式がたんすのこやしになっている。
晴れ舞台。
この日に着なくてどうするか。
彼女はなにかをふり切ったようです。
「じゃあ、二階も開放しましょう!
花嫁さんの控え室なんだけど、そこも使えるようにしてみます。
階段も使ってもらって、舞台そでを作って……」
いろいろ、がんばって考えてくれました。
ちょっとムリっぽいけど、
「できない」と言わずに、できるだけ希望に答えようとしてくれる。
かなり、嬉しいかも。
そしてもうひとつ。
問題になったのが、婚前式のことでした。
これは私の漠然とした希望によるものだったのですが、
できれば、チャペルでの式を希望。
牧師様に来ていただいて
きれいに飾られたお庭で
みんなに祝福されながら
お客様にふたりの未来を誓い合う。
そんな婚前式も悪くはないのですが、
なんとはなしに、ウェディングドレスを着るのであれば、せっかくならばチャペル式、と思い込んでいました。
バージンロード、歩きたいじゃん。
ろうそくとか、灯したいじゃん。
「病めるときも、健やかなるときに……」
という神の言葉を受けて
「アイ、ドゥ」
とかいいたいじゃん。
(日本では「はい、誓います」になるようですが^^;)
もうこれは、今まで私が見てきた式のイメージにとらわれていたのだとしか思えません。
今にして思えば、婚前式でもなんら問題なかったと思われます。
でもこのときは、うーん、どないしたもんか……と考えこんでしまったのでした。
真冬に、ドレス姿で、庭での婚前式か……寒かろうなぁ。
いや、それはオフシーズン、しかも冬を選んでいる私たちが悪いわけです。
二次会のヒーローショウはここでやるのは無理として、別の街中で会場を探
して、支度するのってかなり大変なんじゃないかなぁ。
最寄り駅からけっこう遠いから、お客様が大変なんじゃないかなぁ。
そして、結婚式までに何度かせねばならない打合せに
週末ここまで通うのって、大変なんじゃないかなぁ。
結婚式場として、申し分ないプランだったにもかかわらず、
私たちはここを選べませんでした。
もし、もう一度どこかで式を挙げるとするなら、ここを選ぶと思います。
身内だけの、ささやかだけどあったかいお式を挙げたいから。
もちろん相手は同じで、ね。