京都の着付け教室 きものシャン
レッスン会場:烏丸御池教室 (京都市営地下鉄烏丸御池駅すぐ)
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ゼロ年代のプチプラ小紋
こちら約20年ほど前のプチプラ京小紋となります。
わたくし若かりし頃、ありがたくもたまたま周囲におられて導いてくれはったのが着物のプロばっかりやったせいで入門から高級品に囲まれてスタートでしたから、着物の仕事を始めてからは逆にプチプラなものってなんだろうと知りたくて
業者さんから数反買いました。
当然ウワーッと憧れる要素はナシ、でも見た目可愛いし、音楽イベントに着ていくような汚れても気にならない遊び着にはええやんとか思ってました。
しかし「え、アナタこんなやすけなもん着て外歩いたら...」と同業の先輩たちには苦笑いで心配されました。
※「やすけない」は、京都や滋賀でよく使われる言葉で、安っぽい、品がないという意味です。
これ着物警察ではなくて、着物の品質を見極めて高級品をすすめる仕事の人間としては「他者からどう思われるか」ということはとても大切でありまして、また安いものに慣れると美的感覚が下ブレしますから、興味本位のプライベートでも気をつけるべきだということです。
人間関係ができている間柄であることが前提ですが、このようなことを言える人はとても貴重です。
まあ、つまりそれくらい子供のお小遣いでも買えるような値段で問屋街にたくさん置かれていた反物達だったのです、事実として。
さていわゆる「裾もん(1番安いゾーン)」の小紋というのは、2000年あたりでは比較的コストの少ないやり方で、当時流行のモダンまたは大正ロマン調の染めを施して買いやすいお値段のものを作っていました。
「こんなもんを友禅て言うて、うちのもんと一緒にされたらかなん」と眉を顰める友禅メーカーさんもたくさんおられたのを記憶しています。
しかし令和のいま手に取ると、「生地は決して悪くない」とちょっと驚きました。当時はこれ当たり前やったんですよね。
今やインクジェットの技術が進むなか、やはりそれ以外の染めの人たちからは「売り場で違いをきちんと説明してもらわないと困る」と危惧する声も出ています。いつの時代も同じですね。
柄があることが当たり前、素人でも自分でデザインしてTシャツなんかを作れるサービスがある時代。
手の込んだ友禅をやっているメーカー、職人にとっては、それぞれの技術の違い、できあがりの違い、着た時の違いをどうやったら知ってもらえるかということが課題かと思います。
レスキュー① 八掛で遊ばない
こういうプチプラモダンなもの、当時はモノトーンなんかも(90年代の流れから)流行ってましたので、八掛は黒とか墨色とかそういうのでパチっと決めるか、グッとレトロなイメージの色をつけるなんていうことしてました。
こんな感じでございます。
これやっぱり手の込んだアンティークなお品でやるとかっこいいんだけど、なんともプチプラモダン過ぎて、やはり着る人がよく見えない。(その当時は流行として可愛かったのですよ、念のため)
おすすめとしては、都会的かつ優しくしてみることです。
着物の色から1色を取ることなく、中間的な色でかつババくさくない肌映りの良い色を選びました。
三角の柄のところがピンクと黄色なのでそれを混ぜたような色ですね。
今どき感覚+上品な帯にも合う八掛(ご自身のパーソナルカラーや合わせたい帯との相性)を選べば、これだけでもけっこういい感じになるなと思います。
雑誌 七緒系?(そんなもんあるんか笑)なイメージでございます。
レスキュー② 染めを足す
まあ、生地は今の感覚だと決して安物という扱いではありませんが、やはりプチプラな小紋は、いい帯したらすぐに良く見える、なんて横着が出来ないのが現実。
ここで気をつけたいのは、染めの着物に織の帯じゃダメってことです。
当時は洒落袋がメジャーになり、紬からオシャレな付け下げまでいけますという売り方の帯がたくさん出回りました。いまも西陣織の主力商品です。
でもね、こういう織ボリュームや奥行きにプチプラ小紋は負けちゃう。
着物そのものに存在感が無いから。
帯によって引き立ててもらえないのです。その結果、着る人もそんなによく見えない。
つまり着物側の問題。染めのパワーが足りないんです。
じゃあ、帯も染め帯にして染め染めパワーを足してあげればいいんじゃない?
そういう発想を持ってください。
どうでしょう^^
染めを足す発想。「西洞院辻ヶ花」とよばれる大脇一心帯。カチン染め(墨描き)が着物に立体感を添えます。
つまり、色だけでなく、違う染めの技術を足してあげるんです。
ちなみに大脇一心て、これも懐かしのアイテムですけど、個人的には合わせやすくて上品で大好きです。なんか古びへんのよね。
リユースで大量発生しておりますのでチェックしてみてくださいね。
タレに落款出して仕立ててるやつと
そうではないのもありますね。これは好みです。
さて、次はこんな個性的な帯も紬だけに合わせるんじゃなくって、プチプラ着物を活かすのにも使えるんだよという例。
染めを足す。
紅型なんかもいいでしょうね。
なかなか皆さんレアモノ、工芸モノがお好きなのが着物ファンあるあるではございますが、
あまり顧みられることのない平成期のプチプラ小紋、生地は決して悪くないので、良い胴裏と八掛をつけて、昭和平成期のセンスある染め帯を合わせて自分らしいコーディネートとして完成させてみるのも着物のおしゃれのひとつかもしれませんよ、というご提案でした。
好きな色柄を活かして自分で自分をプロデュースできる、それが着物の醍醐味です。
とはいえ、現代のええ帯をすれば古い着物でもよく見えるというのは昔の話で、低品質のものがどんどん増えてくると、さすがにもう帯の力だけではどうしようもないっていう時代が来るかもしれませんね。
まあ、それはそれでユーザーも二極化していくだろうから、その中で着る人がたくさんのコーディネート術を持っていれば、楽しみの幅も確保できるのではないでしょうか。
今あるものをしっかり見る!
観察力をつける!