京都の着付け教室 きものシャン

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こんにちは 京都の着付け教室 きものシャン 講師の原 です。
 
霊峰白山の麓の奇跡の織物工房である、加藤手織牛首つむぎへの弾丸ツアーのレポを書いております。
 
今回の記事では、加藤さんの工房ならではの

 

①製造工程のこだわり
②そこから生まれる品物の本当の良さ
 
サムネイル

 

について、細かく書いてあります。
 
特に牛首紬の本当の良さとは何か?について記事の後半で深掘りしてありますので、目利き講座ファンの皆様、ぜひぜひお楽しみくださいませ。
 
前回の記事を未読の方は、まずはこちら「感動!加藤手織牛首つむぎ(旧:加藤機業場)の工房見学 弾丸見学ツアー前編」をお読みください。

 

 

さて、この工房見学に行ったのは5月のはじめ。

もう1月半ほど時間が経っておりますが、興奮全くさめやらぬ状態でして。

 

逆に伺った直後は、興奮しすぎてて、文字にすることができなかったので、今やっと、というのが実際のところです笑。

 

さて早速工房のなかへ。

 

◼️加藤手織牛首つむぎ

石川県白山市桑島イ1番地26

 

工房の入り口入ってすぐのところのお部屋で、繭から糸をとっている作業を拝見できました!!!

いまの着物産業の常識を知る人は、この時点で毛穴がブワッと開き、常識が覆り、ドキドキすること間違い無し。

 

ひとつの工房のなかで、繭から仕上がりの布まで一貫した管理作業。本当に奇跡です。

 

道が整備される前までは、隣町に行くまで1日かかったというこの土地。自分たちの知恵と工夫と忍耐で何を生み出せるかという歴史が、そのまま現代に残っている感動を覚えました。

 

この素朴な(いや失礼な意味ではなくて)建物の中で、しかもこの明治時代から現役のヴィンテージな機械で、繭から糸が紡がれているのです!

 

 

  玉糸の誕生「のべびき」

加藤手織牛首つむぎでは、玉繭を緯糸に使用しています。緯糸の一部ではなく、緯糸すべてに玉繭を使う織物は、加藤手織牛首つむぎのみです。

 

画像向かって右が玉繭です。


蚕が作る繭には一匹で作る単繭と二匹以上で作る玉繭とがありますが、玉繭は二匹のカイコのはいた糸が不規則に重なり合っているため、製糸工程では、特別な技術が必要になります。


生糸を取るための養蚕の世界では、玉繭は不良品。

その余剰品である玉繭を使って織物を織るという、生活の知恵と工夫の結果です。


玉繭から引いた糸を玉糸と呼びます。


かつての牛首紬は、経糸も玉糸だったと考えられますが、現在では経糸は生糸を使用しています。

 

この玉繭から糸を引く技術を「のべびき」と呼びます。

 

糸が見えますでしょうか?

繰糸釜の中のお湯は約83度がベストな状態だそうで、緯糸となる糸は、玉繭60個から1本の糸になるように引いていきます。

 

糸の太さを揃えながらひたすら糸を取る作業です。

玉繭は中に2匹の蚕がいるために糸の出口が2つあり、片方の繭糸を切りながら作る為、一方の繭糸が絡みついて節のある太めの生糸になります。  

 

ざるの中を覗くと、本体のお蚕さんたちが。

繭から糸へ。リアルな手仕事の現場です。

 

動画の許可がありましたので、掲載させていただきます。手元を見ていただくだけでなく、周囲の音も聞いていただきたいです。

 

ギーコギーコとなに軋むような音が聞こえませんか?

 

続きの動画をご覧ください。

これはお湯から引いた糸を巻き取っていく際のこの機械を動かす音です。

 

この装置は座繰り製糸機(上州式)と呼ばれるもので、なんと明治時代からの形を残しているとか。

糸巻きが回転するその動力は人力。

糸引きをしている職人さんが足で踏んで車を回転させます。

 

これがギーコギーコと軋む音の正体。

 

この木が軋む音、生で聴いていても決して耳障りではなく、なぜか心地いいものでした。

 

またお湯で繭を煮るような状況ですから独特のにおいがしましたが、それも嫌な臭いではなく、かといってめちゃくちゃ大きく吸い込みたいような香りでもないんですが笑、やはり落ち着くような、不思議な感じでした。

 

この時点でワタクシすでに感動で口あんぐり。(マスクで見えませんが口開いてます笑)

玉繭の絶妙な糸の風合いとのバランス上、一般的な機械の張力では糸を引くことが出来ないため、このような作業が伝承されているのです。

 

 

  ​のべ枠から管巻きへ

 

経糸(生糸)も緯糸(玉糸)も、まだまだこれから織るまでのたくさんの準備が必要です。

 

先ほどの座繰り糸のお隣の部屋がこちら、のべつむぎ と呼ばれる工程を行うスペース。

 

いまは動力を用いて効率よく糸の準備ができているそうですが、なんと1980年までは手回しでやっておられたそうです...これもまた他の産地との時代のギャップを感じました。

 

 

 

  オリーブ石鹸で精錬するよ

さて、これらの糸をどうやって精錬するのか?この練りの工程も手作業。

今回私が特に注目してお話を聞きたかったポイントのひとつです。

 

昔ながらの窯の中で、糸のセリシンを取り除き、糸の光沢と柔らかさを出す作業です。

石けんと重曹を用い、1時間ほどかけて大釜でセリシンを煮溶かします。石鹸はオリーブ石鹸を使用しておられるそうです。いろいろと使ってみて、それが良かったから、とのこと。

 

この精錬の工程も糸質にかなり大きな影響を与える部分です。

 

糸繰りの工程に比べると見た目のインパクトがないのであまり取り上げられていないようですが、この精錬の作業こそ、絹糸の奥深い艶と輝き、染めた時の色味の深さを左右するものです。

 

つまり染織美を左右する工程で、まさに絹糸のスキンケア、栄養管理といったところでしょうか。

 

当然、その時代その時代、また繭の種類によってベストな練りというのはそれぞれ研究されているわけですね。

 

セリシンを煮溶かした後は、丁寧に水洗いし脱水します。

 

 

  美しい玉糸との対面

素晴らしい糸との対面です。

手つむぎの紬糸とはまったく違う、強さと膨らみを持っています。

 

精錬前と精錬後の違いを比べています。

 

 

 

織り上がった白生地です。

さてここからどんな工程を経てこの白生地になるのでしょうか。

 

 

  織物の最中地点へ

糸は織りやすいように糊付けをします。

 

さらに経糸は整経、緯糸は管巻きという糸の準備をしていきます。

それぞれ機で織るためにはなくてはならない作業です。とても単純に見えますが、この準備の効率もやはり長年の経験として呼吸の整ったものでなければ出来ないように思います。

 

これは牛首紬に限らず、西陣でもどこでも織物の産地の美しい光景のひとつです。

 

 

 

 

 

  牛首紬の機織り

準備が整ったら、織物のフィナーレともいうべき工程「機織り」が待っています。

 

まずは機の全体を見てみましょう。

織機の機能を理解することも、織物の目利きをするための必須知識のひとつです。


みなさんも産地見学で機織りをみることがあれば、織り手さんの手元だけではなくどのような織機なのか、しっかり観察してその仕組みと力学を理解することをおすすめします。

 

少し近寄ります。

シンプルな平織りのための機であることがわかります。


綜絖の上げ下げをする足踏みが見えますが、もっと手前にタワシのようなものが見えますね?

玉糸ならではのケバを取りながら織りすすめるため、とったケバをここにまとめているのだそうです。このような現場でしかわからない、リアルな作業も注目ポイントですね。


 

実際に織りすすめられる様子を見てみましょう。

右手で紐を引いて杼を飛ばしながら、左手で筬を打っている様子がわかります。

織り手さんが、右手で引っ張っているものを「かまち」といいます。

 

これは、手で杼を滑らせて経糸の間に緯糸をいれていく手投げ杼(手越し)ではなく、引杼という方式で、西陣では「はじき」と呼んでいたものです。

 

杼の動きがかなりスピーディに見えますが、コレがなかなか織り進まないのです...先は長い!

じっと見ていると、この両手、両足の力配分とタイミングが、織物の風合い・仕上がりを決めているひとつなのだと改めて感じます。

 

ちなみに私も過去に機織り(高機・手投げ杼)をやったことありますが、めちゃくちゃにお腹が空きました。

 

機と共に人が動いていることを実感した出来事でした。

 

 

  加藤手織牛首つむぎの今と昔

現在、加藤手織牛首つむぎは、5代目の社長様です。もちろんお隣の奥様も職人さんとしてバリバリとお仕事をされるスゴい人。

 

先代である、故 加藤改石氏とそのさらに先代である改石氏のお母様 故 加藤志ゆん氏についても様々なお話を聞くことができました。

 

※工房の前にて。まるで実家に帰ってきたような心温まる雰囲気で迎えてくださった加藤社長ご夫妻と。

 

この土地だからこそ生まれた力強い織物について、やはり私が心配に感じていたのが、材料である玉繭の確保です。

 

もともとは余剰品の活用として生み出された牛首紬。

 

先述の通り、玉繭は正規の絹糸の生産においては商品にならない不良品、つまり余剰品だったので、その生産量を増やすというような生産指向はそもそもありませんでした。

 

時代とともに蚕の品種改良が進み、玉繭が出来にくい品種が主流となっていきます。玉繭は、養蚕のシーンから姿を消しつつあるものになりました。

 

もともと、余剰品、そこにあるものを使って行うという生活の知恵と工夫から生まれた織物であるため、今度は玉繭を確保することが難しくなっているという、ある意味では逆転の時代になっているとのこと。

 

それでも2000年頃までは玉繭は普通の繭よりも安価だったそうですが、今では価格も逆転。

 

海外から仕入れるにしても、そもそもの数がないためかき集めるようにした玉繭を大切に使っておられるわけですが、世の中さまざまな繭があり、品質もそれぞれ。


もちろん牛首紬の現在の製法に合うもの、つまり使えるものと使えないものは選繭しなければなりません。


製造業としては、品物にあった原材料を安定的に仕入れることが基本となると思いますが、そこに陰りが見えているという深刻な状況であるということ。

 

国産繭が優れていて、輸入がダメなんていう、そんな単純なことではありません。

 

当然、そのなかで牛首紬の良さを生み出せるものとそうでないものがあります。

 

高級糸に使われるブラタク産の玉繭で糸を作り、試験的に織ったこともあったそうですが、糸が細すぎて、現在の織り方では、どれだけ織っても織りすすまず、糸をたくさん使わないといけないため、着物一反分はとても重い織物になってしまってたこともあったそうです。


原材料が変われば既存のインフラも技術も馴染まないという、当たり前のことですが、何が正解なのかと出来上がりのものにじっくり向き合いながら忍耐強く製造を続けておられる姿勢がについて、これも牛首紬というものの魅力のひとつなのだと感じました。


知れば知るほど、目線が広がっていきます。

 

玉繭をわざとたくさん作ればいいじゃん、と思う人もおられるでしょうが、世界的にみても玉繭100パーセントを緯糸にして織物を織るのは、こちらの加藤さんの工房だけ。

 

養蚕家の供給バランスに見合わないわけです。

 

 

  牛首紬の本当の良さ

私がリユース着物目利き講座の紬編でいつもお伝えしていることのひとつに、紬織物の価値をどう捉えるか、現代では消費者が自分で考えなければならない時代であるということがあります。

 

細かい絣の美しさも、紬のひとつの魅力であり価値です。

 

その一方で、経年劣化の中で美しく変化する布であるかどうか、という織物としての価値も紬ならでは。

 

つまり使えば使うほど艶が増す、身に馴染むという「育てる布」としての価値です。

 

もちろん牛首紬の白生地は、最終段階には染めとのマリアージュでその輝きを発揮するわけですが、その新品の状態にとどまらない、驚くべき変化を遂げることが牛首紬の究極の魅力です。

 

 今回の弾丸ツアーについて、引率して下さった白生地屋さんの社長からこんなお話を聞きました。

 

着物ヘビーユーザーである老舗の女将に、久しぶりにお会いした時のこと。

 

そのときの女将は、大島のような、それとも違うような、艶としっとり感のある不思議な織物の着物を着ておられたそうです。

 

綸子のような光沢すら感じられたので、社長が「すごい着物ですね」と褒めると、

 

女将は笑って言いました。

「何いうてはんの、これあなたところで買わしてもうたやつやないの!」と。

 

そうです。

 

その着物は、社長が以前にその女将に買っていただいた、牛首紬だったのです。

 

普通の人よりも着る回数が何倍もある女将ゆえに、一般の人の何倍速かで生地の変化を楽しんでおられたのです。

 

この話を聞いて「いつかは買えたらいいなぁ...」となんとなく思っておられた人、「いますぐ買いたいです!」と意識が変わりませんか?

 

1日でも早く布を育てて、その変化を楽しみたいですよね。

 

ちなみに紬の世界には、お値段だけでいえばもっともっと高いものはいくらでもあります。

 

高いものを売るときに、これならば三代受け継ぐことができます、なんて言いますが、高級紬の中には、繊細な絣にこだわるあまり、糸が細すぎて、生地として弱いものもあります。

 

かといって安い紬は固いだけで、経年とともに美しく育つことはありません。劣化して布が弱るだけです。

 

布の弱りを気にせずジャンジャン着て、かつ本当に三代伝えられるものは、いまの紬市場のなかではごく一部だと言ってもいいでしょう。

 

もちろん高額なものだから、箪笥にしまって着ないことも、その人の満足度の問題なので他人がとやかくいうことではありません。

 

ただ「紬の楽しみ方」の基本の部分としては、織物が美しく変化して朽ちてゆくまでを見守ったであろう、江戸時代のヘビーユーザー達が見出した紬織物の美という目線も必要でしょう。

 

なぜならば、結城にしろ、大昔からその布への評価が高い産地において考えたときに、ヘビーユーザーしかいないの時代の人々が「経年劣化の中で美しく変化するものであるかどうか」を抜きにして良しとするわけがないのですよ。

 

少なくとも、江戸時代においてすでにブランド化していた産地のものについては、当時からそれなりの金額がするわけですから、丈夫で良いものを求める厳しい目線にさらされてきたその価値のなかには、かならずこの長いお付き合いができる布であるかどうかが含まれていると思います。

 

箪笥にしまって着ない人のなかには、ちゃんとその本質を知って買い集めるパターンもあります。


実はそのような人たち、良くわからずなんとなく着物を着ている人たちよりも何倍も鋭く染織品を観察しておられますから、相当に勉強されているのでしょう。さすがです。

 

 

  牛首紬の品格

もう少しお話をするならば、牛首紬の白生地とは、歴史的にどんな需要があったのでしょうか?

 

ここも加藤社長ご夫妻のお話と白生地屋さんの社長のお話から、考察します。

 

牛首紬をスタートは、この地に養蚕が伝えられ、さらに機織りの技術がもたらされたことです。

 

養蚕は養老年間(8世紀)に、機織りは12世紀頃に伝えられたといわれています。

 

加藤手織牛首つむぎのホームページにまとめられている年表のなかから、こんな記載を見つけました。

 

    

1788年(天明8年)    

江戸の絹織物録に加賀紬・釘抜太織り紬の記載。〔『絹布重宝記』〕 

一、結城紬 是紬中の最大一なり、他の紬は真綿を引きて織るなり、結城は不然糸を紬糸に製して織りたる物也、夫故万事似るものなし、(下略)

一、加賀全体太口なるものなり、至って強し 一、釘抜太織 帯地 加賀より出る、見てより高直なれども、地性至って剛なり。

天明といえば、江戸時代は中期、そのころにはすでに牛首の織物は加賀の名産品として広く紹介されていたということですね。

 

一説には牛首紬は、武家の女性のフォーマルにも用いられていたという話もあるようですが、実際には、男性ものだっただろうと白生地屋さんの社長はおっしゃいます。

 

その耐久性と質の良さで加賀藩の武士たちに愛用されていたのだとか。

 

もちろん白生地ばかりを織っていたわけではないと思うのですが。

 

いまでも弓道や武道関係からのニーズがあり、牛首紬の袴は定期的に注文があるそうです。

 

ここでさらに注目したいのは、牛首紬を染める技術です。

 

加賀藩と言えば加賀友禅です。これは牛首村の素朴なイメージとはかけ離れたジャンルのように思う人もおられるかもしれませんが、牛首紬の白生地を使った加賀友禅という商品は多いです。

 

柔らか物がメインの京都の染屋さんによれば、牛首紬を量産的に染めるのは大変に難しい作業だそうです。

 

たとえば牛首紬の生地に江戸小紋。数回で染め型が傷んでしまって大変だったり、染料にドボンと付ける浸染では、ムラがでてしまったり。

 

しかしながら、白生地という伝統が残っているということは、染めにくさを考慮してでも価値があるということなんですね。

 

このような裾ぼかしの上品なお品であれば、西陣の袋帯の古典柄がピッタリですね。

キンキラ金のやつではなく、光を抑えた引箔の上質な帯を合わせたくなります。

 

 

 

  本当に釘を抜くの?

「釘抜き紬」というネーミングについては、お話を聞けば聞くほどかなりいろんなエピソードがあり、なにがオリジナルなのかは今回の弾丸ツアーでも真相はわかりませんでしたが、ひとつの比喩なのでしょう。

 

・打たれている釘に引っかかっても布が裂けない。

 

それほど丈夫な品なんだよ、という意味であることは間違いがないと思います。

 

この名称が出てきた江戸時代においては、みんな着物しか着ていないわけですから、日常的に何かに袖や裾を引っかけたことでしょう。

 

今の整備された街中やバリアフリーな住宅とはかけ離れた環境だったと想像します。

 

破れない・カンタンにへたれない、そのような生地の頑丈さについて、今以上に価値がおかれていました。

 

 

 

  着心地から見たときの牛首紬の良さ

加藤さんの工房の牛首紬は、品物として触ったときに「がっしり」とした地厚な感じを受けます。

 

玉糸の毛羽を感じる独特の光沢とともに、見た目には柔らかそうだけれど触るとがっしり。

 

ものすごくキッチリと目が詰まった織物なのではないか、と感じました。

 

しかしながら、社長ご夫婦のお話を聞くにつれて、丈夫だけではない新たなスペックも知ることができました。

 

それは、この頑丈な見た目からは想像もできない「通気性の良さ」です。

 

加藤さんの牛首の糸は「あま撚り糸」なんです。

 

つまり一般的な生糸よりも糸の撚りが少ない。

 

そのため、強い打ち込みでしっかりし織り上げても通気性が確保されるため、長時間着ていても疲れない。

暑がりの男性にも良い反面、絹ならではの保湿性もありますから、寒がりな女性にもおすすめできる織物です。

 

ここは着て動かないとわからないポイントなので、この情報は牛首紬の購入を検討される方はぜひ知っておいてほしいと思います。

 

自社で糸づくりから一貫工程でやっておられるからこそ、糸レベルのでの品質のお話がたくさん聞けました。大変に貴重なことです。

 

 

  加藤さんの牛首紬を育てるプロジェクト

今回見学に行かせていただき、さっそく私も新しく誂えたいと考えました。

 

白生地なので、自分がこれと指定して欲しい色がある場合は、染めてもらわなければなりません。

 

引き染めで上品な無地染めを希望。長襦袢講座でご協力いただいた、京都ワビタス様に、後日色だしをお願いしました。

このような赤黒系が素敵だなぁと思ったのです。

この生地見本は織物で赤い糸と黒い糸が混ざっていますので、染め見本としては使えません。

 

新しく染め見本から出していただかないといけないのですが...

もし、出来たらうれしいな、というニュアンスでお願いしてまいりました。
染めてうまく仕上がる色とそうでない色とやはり生地によって違いますから。

 

時代によってさまざまな牛首紬があったでしょうが、令和のいま手に入る一般的な牛首紬はどんな物語を持っているのか?

 

工房見学でその素晴らしさはもうお腹いっぱい楽しみましたので、じゅうぶんにオススメできるスペックであることはわかりましたが

 

もう少し突っ込んで、自分自身の体験深掘りをやってみたいと思います。

 

買いたい、着てみたい、のその次の気持ち、「これは絶対伝えたい」そのような思いを抱くことができた今回の弾丸ツアーでした。

 

京都に帰ってきたら、20:00を過ぎていました。

もう外は真っ暗。

素晴らしい1日でした。

引率いただいた皆様、加藤手織牛首つむぎの皆様、同行の加藤栄里ちゃん、皆様に心から熱い感謝の気持ちをもう一度。

 

 

  牛首紬の証紙について

なお、牛首紬の証紙については近年に変更がございました。牛首紬については、前回の記事で複数の定義があると申し上げました。


2社しか製造元がない点から考えて、証紙変更の理由はお分かりになると思います。

 

こちらのリンクからご覧ください。

 


どんな色や柄の証紙か、ではなく何が記されているのかを見てくださいね。


分類を知って字をよく読めば、見分けるというような難しいレベルのものではないです。




それらを踏まえたうえで、無形文化財指定の条件や伝統工芸品指定の条件などそれぞれの言葉から製造の違いを見ていただけたらと思います。

 

証紙についてはこれ以上、深掘りするポイントがございませんので、これで終わりです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 
 
 

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