京都の着付け教室 きものシャン

レッスン会場:烏丸御池教室 (京都市営地下鉄烏丸御池駅すぐ)

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初級レッスン 全8回 + 着物のTPO基礎知識 全1回 

お悩み解決レッスン  1回 90分

 

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こんにちは。 
京都の着付け教室 きものシャン 講師の原 です。
 
たまに生徒さんからもご質問のある野蚕。
わかりやすく図にしてみました。画像クリックして大きく開いていただくとわかりやすいです↓
*作成:京都の着付け教室きものシャン(画像の無断転載を禁じます。)
 
一般的に家畜化して飼育法や糸の取りやすさを改良したのが家蚕(かさん)。桑の葉を食べて成長します。
 
それに対して屋外で飼育するものを野蚕(やさん)、山蚕(やまこ)、山繭(やままゆ)などと言います。桑ではなく、櫟、カシワ、クリ、トチ、ブナなどの木で育ちます。

本日は野蚕、ワイルドシルクについて少し。

  天蚕

まず天蚕というのは日本産の野蚕のことで、数は少ないです。(そもそもが日本産の蚕はめちゃ少ない。)国産の天蚕については、長野県穂高町の有明地方が有名です。

非常に高価なため、天蚕だけで着物織りました♪という商品は流通の上で見ることはありませんが、部分的に使われるということはあると思います。

ちなみにわたくし原材料だけで70万円程度というタテヨコ共に天蚕糸の着物を見たことがありますが、美しすぎて震えました。

ただ、現在の製糸の技術は家蚕を前提に発展してきたものであり、その方法では、天蚕糸を作るのに膨大なコストがかかり、現実的ではない、品物にするには上代が合わないというのが現状であり、

品質の良い輸入の絹糸を基本に展開する和装の世界では、文化事業的なところに止まっています。


 

  柞蚕

野蚕といっても野生しているわけではなくて、人間が櫟やクヌギなどの木を剪定するなど管理のもとで飼育されているというのがポイント。現在、日本で出回っている野蚕はほとんどが中国産です。なお、柞蚕は種類がいろいろとあり、蛹の時点では数種類の色があるといいます。しかし、蛹の色が違うからといって繭の色まで違うということはないそうです。
 
柞蚕も染色性など機能面で取り扱いがしにくいため和装でたくさん使われることはないと思います。

やはり一般的には、上質な家蚕の糸を海外から仕入れるというのがおもな和装業界の生産スタイルです。


 

  タサール蚕

タッサーシルクの名前で知られるインド産のタサール蚕も人気です。こちらにタサール蚕の生態品種が詳しく載っています。

 

“Among the available ecoraces, only Daba and Sukinda are commercially exploited in seed sector as breeding material because they have been semi-domesticated. On the other hand, majority of ecoraces are wild in nature and least amenable to human interference. ”

(上記サイトより引用)

 

とあるように、たくさんある種類のなかで半家畜化できている(semi-domesticated)のはDasaとSukindaという二種類のみ。本質的には野生であるということで、なかなか人間がコントロールするのは難しいようです。

 

 

次に、滋賀県にある中川絹糸株式会社さんのサイトを覗いてみましょう。

 

↑こちらにタサール蚕についての説明があります。

画像はリンク先のページの文章の最後に載っていますのでスクロールすると出てきます。


 

野蚕には繭が木にぶら下がるための「枝絹」(Peduncle silk)と呼ばれるものがあり、これは蚕が最初につくる茎(stem)のようなもので、繭の先からしっぽのように出ています。たしかに家の中で飼われているものではないので、何も無しだと木から落ちちゃいますもんね。

 

そしてその枝絹の部分(おそらく外側の殻繭の部分も含む)を糸として再利用したものがギチャ(ギッチャー)です。

 

オモシロイ商品ですよね。

 

せっかくなので今後の目利き講座の教材にしつつ、実際に自分でも着心地を確かめるべく購入させていただきました。

私が着るには大幅にサイズ直ししないいけないくらいのサイズ感のものでしたが、10万円程度だったので買わせていただきました。新品時代の記憶、、多分50万円前後で売られていたはず。
 
手触りはシャリ感のある大層ごっつい紬です。
 
「ワイルド」という言葉がこれほど似合う着物は他にありません(笑) 着物なのに防寒コートみたい。

ただ、織物の隙間はそれなりに空いているので、暑苦しいというようなものではありません。
 
まあある意味、繭のいっちゃん外側なんで。プロテクターとして強いよね。保湿性、防紫外線性などには非常に優れていると思います。
 


  何色なのかわからない着物

でもちょっと待って。
 
お写真を撮ってみると ぜんぜん色が映らない!
これこんなグレーの着物ではないんです。グレーの着物ちょうど欲しかったんだけど!でも肉眼ではグレーじゃないの。

私の目には、縦にしても横にしてもグレーには絶対見えない。
 
そこで別のカメラで写真を取り直し、スマホに取り込み色調を調整してみたのがこちら。
光的には、日中UV機能のあるレースカーテンを締めている状態です。掃き出し窓なので採光量が多く、この部屋の照明はつけていませんが、付けてもあまり変わりませんでした。
 
いま見える色は、いわゆる暗めのカーキグリーンですよね。
 
カーテン全開で太陽の光に当たるとこれくらい、いやこれ以上にジンワリと苔色を濃くしたような優しいグリーンに変わります。上記のサイトのなかでいうビリジアンと苔色が混じり合ったようなニュアンスに近い色になります。
もうちょっとナチュラルに濃くて明るい緑なのですが、
 
うーん・・・スマホの限界です。
まさに何色なのか伝わらない&わからない着物ですね。



  コーディネートいろいろ

こんな可愛い洋風の帯を合わせても良いし。


名物裂の帯だとエスニックな雰囲気がぐっと引き立ちますね。趣味人の世界って感じ。


川島織物の草木染めの帯を合わせてみるとこんな上品で優しい雰囲気に。お上品系が好きな方はこんなコーディネートも可能。

ワイルドシルクとはいえ、無地なのでなんだかんだ使いやすいですね!


 

  何色なのかわからない理由

さて、この着物の色味の変化は、麹塵染めによるものです。

異なった染料を組み合わせることによって、光が変わるとそれに応じて見えてくる色が変わるという仕組み。

 

カーキ系~鮮やかな苔色×ビリジアンのような不思議な色に変化します。

 

でね、こういう商品は売るときにかならず手元にポータブルなライトを用意しておいて「こんな風に変化するんです!!」と言って、お客様に「おおー素敵!」って反応していただくあるあるがあるんですよね。

 

展示会場って外の光が入るところあまりありませんから、このようにアピールするのですが、それでもやはり麹塵染めのお着物は自然の太陽光の下で見るのが一番美しいです。

 

そもそも、光を当てて見せたりすらしないリユース着物の会場(商品が普通に畳んで置いてあるだけ)だと 「キレイ!着てみたい!!!」となりにくいため、会場で見たときは、キレというようりはワイルドな渋ーーい色のお着物でした。

 

かなり近くにライトを当てないと色がはっきり変わるというようには見えないからです。




  貴久樹 アジアンエスニックの世界

 

ゴールデンムガ(ムガサンシルク)」をはじめ、「ナチュラルタッサー」、また絣のイカットなどなどとにかくアジアンエスニックと野蚕糸ブームをひきおこした京都の会社が貴久樹。

 


昔、取引のある会社さん経由で商品をずらりと見せていただいたことがあり、こんな面白い商品、私も売ってみたい!!と興奮した覚えがあります。

 

あと他にも当時、ジャワ更紗の小紋がいろいろあって見せていただき、両目がハートになったことを覚えています。

 

しかし上司や先輩たちから

 

「売れへんて」

 

と止められました(笑)

 

売れない商品ということではありません。


我々にはこういうタイプの商品は売るスキルがない。対象となるようなお客様は目の前にはいない。ということです。

 

商品お借りするわけですから、すんません1反も売れませんでした ではダメですからね。

 

また、今までの和装商品からさらに一歩踏み出たものですので、我々が細かいところまでわかっていないとお客様との誤解・トラブルにもなりかねないということもあり。

 

でも当時、この菊地信子さんのコレクションにめっちゃハマっていた私は貴久樹さんの商品の

数々を見てめっちゃテンションあがったのでまさに【後ろ髪引かれ】たわけでした。

 

 

 

2008年頃、とにかく野蚕糸が非常に注目されたことがあり、そういえばインドネシアの黄金繭(クリキュラ)についても当時勤めていた会社でドキュメンタリー映像のビデオ(まだVHS現役でした笑)を貸し出してもらって勉強した記憶があります。

 

この映像がかなり面白かったのですが、ちょっとネット上では情報が見つからないため、ご興味のある方はこちらのPDF資料をご覧ください。

https://junkanken.com/wp-content/uploads/2014/01/Seminar_090717.pdf

 

このロイヤルシルク財団というのは、2006年にインドネシアの王女が主導のもと野蚕産業の支援のために設立された団体で、日本からテクニカル・アドバイザーとして何人も専門家が招かれていました。

 

 

しかし黄金繭といえば有名なのはやはりインド産。

 



  ムガ蚕

ムガシルク、ゴールデンムガとして知られ、黄金色の繭を紡ぎます。生産は、インドのアッサム、および隣接する北東部の州の国境地域、西ベンガルのコーチビハールに限定されています。また季節によって繭の質が異なるため商品価値のある繭が採れるのは年のうち数ヶ月しかないそうで、なかなか貴重な糸であると言えます。

 

 

大変人気のあるムガシルク。ハリコシがあり、独特の光沢があります。

 


 

 

 

 

 

野蚕糸のお着物や帯、さまざまな表現・技法で製造されています。

 

独特の風合いにハマる方も多いです。

 

野蚕糸が和装のファッションとして注目されてから10年上。リサイクル着物のお店でも商品を見かけることがどんどん増えてきましたので、お気軽にチェックできることもあるかと思います。

 

エスニックな上品さを取り入れたいときにオススメです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました♪

 

 

 

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*ファストファッション全盛の時代、着物をいちから御仕立てするという感覚はないかもしれませんが、箪笥に眠っている着物は輝く文化の才能が隠居させられているようなもの。

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