こんにちは、
京都の着付け教室 きものシャン 講師の原です。
着物の季節の色柄はどうすべきか?
先取りがオシャレ とたくさんの着付け指南書にそう書かれています。
でも、そうしないと罰せられるわけではありません笑
これって厳しいルールとか着物警察ではなくて、
先取りしたほうが、せっかく買った着物がよりかっこよく素敵に見えますよ、という親切心の塊のようなアドバイスだと私は考えています。
でも、そんなに何でもかんでも先取りとかうまくいかないですよね。
今回は、着物コーディネートのポイントを簡単に、私なりの考え方で書いてみたいと思います。
季節感にのってオシャレになる基本のキホン
こちら4月の上旬に着た着物は、若菜カラーの春らしい雰囲気でした。色味だけでもぐっと気持ちが華やかになりますね。
着物の季節コーデの極意 その①
太陽の光を参考にする
人間の眼は敏感に季節の変化を光で感じています。
洋服でも着物でも、例えば
これは冬の寒空に着たらカッコいいだろうな、これは夏のギラギラした太陽の下でも負けずに映えるだろう。
そんな感じで、季節限定の柄や生地は、デザインする側の意図があって作られています。
なので、着る側としては、
最近日が長くなってきたな、
とても春らしい明るい空だな、
そう感じたらそのタイミングで春っぽいものを着ればいいと思います。
まずは、ご自身が住んでおられる地域ならではの四季の変化を感じて、そこに合うものを選ぶ!
そうすると美しく見える!
しかしなかなか自分の姿の客観視って難しくて、ついつい紋切り型のルールを知ろうとしがちですが、まずは季節の移ろいを感じることが大切です。
草木から感じられなくても大丈夫、太陽の光の強さを目安にしてください。
色彩については面白い研究がたくさんあり、民族衣装では赤道に近くなるほどハッキリした色、彩度の高いものを好む傾向にあり、地理的に遠ざかれば、その逆になるそうです。
その土地で採れる染料や光の強さが違うので当たり前なのでは?なんて思う方もおられるかもしれませんが、
しかしながら「人がなぜそれを好むのか」というコアな理由について、認知分野で学問的にはハッキリしたことはわかっていないそうです。
(この話は、京都大学所属の専門の教授から伺いました。)
着物の季節コーデの極意 その②
映えるポイントを考える
着物を着てのお出かけ、みんながみんな日中にずっと太陽の下を歩き回っているわけではないでしょう。
どこにいくのか、どこで写真を撮るのか、そんなイメージでも着物の選び方はスンナリ出来るようになります。
もし、ランチにいくのであれば今どきですから、検索すればそのお店の内装がすぐにわかります。
ホテルの宴会場などもどんなライティングなのか、オンラインである程度調べることもできます。
そこに着ていったらキレイかどうか?
もちろん何十枚のなかから選ぶわけではないと思うので、帯や小物類でかっこいいかな?と思うものを選んでください。
そのなかにワンポイント、季節を感じられるものを入れられたら100点満点です!
私の友人がこんな写真を提供してくれました。
某なかなか穴場な京都の桜の名所で、超真っ黒な衣装。
後ろの背景がグッと迫ってきて、とても美しいですね。
桜の満開時期に桜の帯や着物がダメかというとそうではありませんが、
美しい桜が映えるように自分が装ってそこに出かけたい、という彼女のなかに「ハッキリしたビジョン」があるからこのように装えるのだなと思いますし、見た人間が、ああ 美しいな と感じるのだと思います。
こうしたらいい、といいたいわけではないです。
ただ、オシャレになりたいなら、自分のなかでいっぱいシュミレーションをしてほしいと思います。
すっごくアナログな方法ですが、着物を着てスマホで写真を撮って、それを見ながらPCやタブレットで訪問する予定の場所を検索して画像などみながらココにあうかな?
なんて考えてみるだけで着物コーディネートのスキルなんてすぐに上達すると 私は考えています。
もちろんファッションなので、一生続くものですから、日々オシャレアンテナを張る必要がありますが、やはり着物の場合トレンドの情報を仕入れなきゃいけないスピードは洋服に比べたら20分の1くらいです。
着物の自習タイムを楽しく♪
じゃあその緩やかな時間を何に使うかというと、
「着物史」、「古典の勉強」や「所作がカッコいい人研究」や「首から上が美しくなる美容の勉強」などなど・・・
たとえば。
★「着物史」・・・着物のしきたりだのなんだの、とりあえず、どんな社会風俗を背景に今の着物のなんとなくの定番が出来てきたのか?知らないとむず痒いばかりですよね笑
人によっていうことが違うとか、自分の着物姿は他者からどう見られるのかとか。
リサイクル着物目利き講座は昭和の着物の価値観の形成にもアプローチしていますが、個人的に知りたい欲求の高い方には戦後の主婦雑誌など資料はたくさんありますので図書館などチェックしてみてください♪
★「古典の勉強」・・・ずばり源氏物語です。島国、鎖国、いろいろ日本には背景がありますが、この超すぎる古典を日本人は江戸時代においても明治期にも大切にしまくりで、着物においても雅なデザインに源氏物語のシーンを紋様化したものがたくさんあります。
でもそのデザインの意図するところ、源氏物語を知らないとわからない。それを知ってわかってきています=その人の知性 のようにみる時代が永らくあったことでしょう。
このニュアンスが、いまの階級もへったくれもない総平民社会においてもフンワリと残っており、とても面白いと感じています。1000年前のことなのに、めっちゃ着物のオシャレや日本人女性の大人のメンタルに触れとるやん! とびびるものです。
オシャレ知識みがくために1000年前の本読むって、不思議すぎますが笑
これはほんまに奥深いものですし、個人的に消化していただいたらいいとおもいます。
源氏物語の場合、衣装に注目したいのであれば、現代翻訳者も選ぶ必要があります。
谷崎潤一郎なのか与謝野晶子なのか、角田光代なのか寂聴さんなのか円地文子なのか・・・
着物好きとしてココを知りたい・味わいたいという表現がカットされている、または訳されていないということもあります。
ご自身で読んでみて、、、といいたいところですが、
それを選ぶことがそもそもメンドクサイ!という方は、まずは
こちらです。
源氏物語、興味なし!という人に特におすすめです笑
私も完全に最初は「興味ねー」というところから始まりましたから。
洋服ほど移り変わりの激しくない着物だからこそ、自分のなかに知識やオシャレアイデアの引き出しをどんどん蓄えておくことです。じっくり考えて自分に合ったものを選んだり、自分自身を見つめなおす時間はタップリありますよね。
着物のデザインになっているお花の季節を知りたい!
については、こちらの記事 をご参考にしていただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。