こんにちは。

京都の着付け教室 きものシャン 講師の原です。 

 

皆さま、パールトーンってご存知ですか?

 
もしもお手持ちの着物の中に、こんなタグが付いていたら
朝からコーヒーこぼしても大丈夫やでぇ!
 
の証です。
 
 
ほかにも すこやかガード とか、いろいろな名前のガード加工があります。
 
今回は、そのなかで独自の技術を持って発展してこられたパールトーンに絞ってお話しします。
もはやガード加工 の代名詞のような存在ですね。
絆創膏といえばバンドエイド® BAND-AID® みたいな感じです。
 
なんのためにガード加工するかというと、湿気など水分で生地が縮むのを防いだり、汚れがつきにくくしたりするためです。
 
さて私が着物を着はじめた頃、20年以上前ですが
 
【パールトーン加工なんてしちゃダメ】
 
【もしもするならコートなどのアウターのみに】
 
 
と着付けの先生から呉服メーカーのベテラン社員さんまで皆さん口を揃えておっしゃいました。
 
 
なぜか?
 
 
パールトーン加工をすると
生地の風合いが変わるからです。
 
 
つまり繊維そのものをコーティングするわけなので、
 
絹の柔らかい手触りが、糊を塗ったように多少ガサガサするのです。
 
 
で、
 
この多少ガサガサがどのくらいかというと、私が仕事で着たことのある訪問着は
 
ポリ!?
 
っていうくらいバッサバサになってました。
 
しかし、つい最近にレンタル着物屋さんの仕事で着せつけした訪問着は 、パールトーンしてるんだけど生地のフンワリはそれなりに保たれていました。
 
もともとの縮緬の生地の個体差なのか?
 
はたまたパールトーン加工の技術の年代による変化なのか?
 
その両方なのか?
 
正確に判別することは難しいですが、風合いは変わるということは間違いありません。
 
 
今日は、リサイクル着物ユーザーさんのために、リサイクルショップのなかの商品からパールトーンがかかった着物を探してきて、パールトーンのかかっていない着物と比べて見ました。
 
同じスペックのものを、と考えて、本場大島紬  片ス 9マルキ の同じ織元さんの着物2枚を使って比べてみました。
 
 
大島紬。まさに日本列島リサイクルショップにあふれているナンバーワンなので、リサイクル着物目利き講座 でも実際に触ってわかりやすく、手織りと機械織りとまた大島風の織物の違いをお伝えしています。
 
 
 
じつは大島紬は縮緬のように、シボのある生地ではないペタンとした生地なので水濡れにそれほど神経質になるものではありません。
 
泥染めの濃い色のものであればなおさら多少の小雨でもスルー出来る感じですし。
 
 
なので大島にパールトーン加工って、わざわざするほどメリットあるのかな?
 
みたいな好奇心もあって買いました笑
 
 
ちなみに私が考案・講師をしているリサイクル着物目利き講座 は、どうにか赤字にならないようにはしてますが、講義で使う見本の着物たちの仕入れでなかなかお金かかってます・・・笑
 
もともと持ってる個人の私物や売り物の商品見せて説明して終わり〜ではないので、
 
だいぶマニアな情熱と知識ないと出来ません💦
 
一般の着付けの先生方は、まずやりたがらないだろうなと思います笑
 
ブログなどで受講生のみなさんがお店回りのツアーでお買い物されてる様子もアップしてるので誤解されがちですが、どこかのリサイクルショップや呉服屋さんと提携してやってるわけではないので 完全一般消費者と同じ買い物の仕方で買って準備してます。
 
お店から商品を提供してもらってばかりだと、ついつい「売る側」になってしまうような気がして、受講生様からみても、やはりそういう事実があるとフィルターかかっちゃいますよね?
 
そこはフラットにしたい、私自身がそういうポリシーがあり、またプロデュースしてくれる はこにわ の主催の2人も同じ考え方。
 
草の根の着物普及活動だからこそ、完全インディペンデントでやっている講座です。
 
 
 
さて本題に戻ります!
 

う〜ん。
 
パールトーンの手触り!やはり加工してないものと違います。
 
 
大島紬知ってる人なら  あれ?これ
 
生地の糊取れてないパターン?なんて思う感じ。
 
または、なんかレインコートっぽい・・・笑 という感じです。
 
手織りの大島の風合いは
 
決定的には失われていません。
 
 
なかなかええ感じです。
 
 
つまり着た時のドレープや着心地や他人から見た時の印象は変わらずのまま
 
 
 
ドキドキしながら
 
水かけてみます!
 
 
 
めっちゃプリンプリンな表面張力びっくり
弾いていますね!
 
ピチピチギャルのお肌ですよ笑
 
 
いっぽう、
ガード加工していないものは、
(リサイクル着物目利き講座 ガチなので、数十万円で買った私物でもなんでも実験対象です😅)
 
 
しみこむしむこむ笑 
水滴落ちた瞬間から💧周囲から染み込んでますよね
やめてー  と思いながらも経過観察
 
 
 
この後 乾ききる直前でドライヤーやおしぼりを使ってキレイに元どおりですが、

これが水でなくコーヒー紅茶に赤ワインで、出先ですぐにクリーニングも出せないなんてなったら
 
真顔
 
Oh ワタシ イマ トテモ ツラーイ、、、
 
ってなりますよね。
 
なのでパールトーン加工、着物ユーザーにとってはありがたい!と思います。高い着物だから汚したくないから加工したい、というユーザーの気持ちに寄り添った技術ですね。
 
 
ただし、
 
パールトーン加工したら
 
元には戻りません。
 
 
なので、
パールトーンをふくめあらゆるガード加工は、
 
「生地の風合いの良さを部分的に諦めたうえで、汚れのリスクを回避する技術」
 
 
と覚えておいてください。
 
 
ですので、やはり紬よりは
 
やわからもの、
 
例えばお稽古などでよく着る小紋や色無地など
 
さらに
 
貸衣装についてはなくてはならない技術かと思います。
 
 
 
いっぽうで、布の本来の風合いを楽しんで、布を育て、ヴィンテージとして後々まで残して行きたい人にとっては、邪道なものです。
 
 
そこは視点の別れどころですね。
 
なので、新品で買う場合、私個人的には、
結城紬に代表されるような、真綿のフンワリ系の紬にパールトーン加工は絶対にオススメしません!
 
 
 
真綿のフンワリ紬は風合い命。
 
また、麻などのように日常的にたくさん着て布をある意味使い込んで育てる、その風合いがさらに着物としての良さ、つまり【着るもの】としての価値になってくるものについても同様です。
 
 
結城紬、高級品だからということでパールトーン加工しましょうって平気ですすめるお店もゼロではないのでご注意ください💦
 
 
さて、リサイクルショップにおいてパールトーン加工のひとまずの見分け方としては、
 
 
この記事冒頭の画像のタグ、あれが
 
下前のえり先付近に付いているので、
 
もし着物を触ってみて
 
ん?
なにか糊がかかったみたいな手触りだな?
 
と思ったら着物を裏返してえり先あたりをチェックしてみてください!
 
そこでパールトーンのタグがあったらなるほど、と納得して買えたら良いですよね。
 
ただたまに
 
パールトーンのタグを
縫い付けてないで、糊で貼ってるだけのものあるんだよな〜😅
 
そのうちなんかの拍子に取れちゃうだろって感じの付け方。
(実際9割方剥がれてる着物みたことあります。でもパールトーン加工のタグなくなったらパールトーンさんではアフターフォロー出来ませんし、そもそもセルフケアにも支障出ますよね。)
 
 
とにかく反物の状態でつける証紙については張り切って伝産シールもキラキラ貼るくせに、仕立て上がったものにはちゃんとタグをつけない呉服業界の影響なのですかね...
 
 
まさにこれから呉服の世界で改良されていってほしいところです。
 
 
そんなのプレタじゃないと出来へんやろ〜
とか
 
洗い張りや仕立て直しとかしたあとはどうすんねん〜
とか
 
うちのブランドで仕立てもトータルな場合はやってるよ!なんてところもすでにあるかとは思いますが、
 
まあ色々あるのは承知ですが、
 
すくなくとも消費者は望んでいる人多いと思う。
 
 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

 

 

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