少し前になりますが、

  テレビを見ておりましたら、

  きもののリメイク選手権と言うのを

  やっておりました。

  

  きもののリメイクと聞いた時点で、

  私は当然きものを解いて

  何かに作り変えるのだと

  思っておりましたが、

  全くそうではない人が多く、

  子供用のきものの

  袖だけもいで、

  袖の付け方をアレンジして

  ガウンの様なものを作ったり、

  かと思えば、

  横にミシンを入れて

  その間に綿を入れ、

  バルーン状のスカートや帽子を作ったり・・・

 

  せっかく羽織を解いて、

  表地と羽裏を平らにし、

  そこに手持ちのスカーフ生地と

  パッチワーク上にして作った上着は、

  きもの地が目立たないと、

  きものリメイクの大家からの

  評価が出ておりました。

 

  そもそも、きものリメイクの

  大家がいる事でさえビックリではありましたが

  今、巷で流行っていると言う事にも

  少々驚きでした。

 

  しかも若い人の間で・・・

 

  若い人にとっては、

  和風柄の布という捉え方なので、

  何もきもの地でなくても良いのではと

  思えるところもありましたが、

  私は、その中でも、

  はるな愛が打掛から

  リメイクしたパーカーには、

  ちょっと、感動しました。

 

  ただ、何の躊躇もなく打掛を

  仕立て上がった状態で

  スパスパ切ってしまう姿にも

  驚きましたが、発想の転換と申しますか、

  パーカーにするという考え方、

  ファスナーを縫いつけても

  きちんと柄合わせが出来るように

  前身頃の左右を裁つ力、

  背中の柄も袖の柄も

  流れが綺麗に合っていました。

 

  そして、そこに、

  柄の中にも使われている

  銀の色の組紐をフード部分に使っていたり、

  見ていた社長が、

  「是非、ブロードウェーなどで、

  これ着て歩いてほしいな。」と

  言うほどの出来栄えでした。

 

  私は、優勝した人の作品より

  こちらの方が素晴らしいと思いました。

 

  確かに、

  使わずに朽ち果てさせてしまう位であれば、

  洋服に作り変えるのも一つの活用法です。

 

  しかも、今の方は、

  とても器用に色々なものを

  作り出すアイディアをお持ちです。

 

  でも、裁ってしまいましたら、

  決してきものに戻すことは出来ません。

 

  きものは、ある日突然

  着てみたくなるものです。

 

  私絶対きもの着ませんからと

  おっしゃったあるお客様が、

  ご主人様とご自身のお母様が

  続けて亡くなられ、

  残されたおきものの分別に伺い、

  最低限必要と思われる

  アイテムだけ残して処分してしまわれました。

 

  残したものをお召しになれるように

  縫い直したり手入れをしたりしているうちに、

  着ないともったいないと思われたようで、

  お召しになられるようになりました。

 

  しかし、その時には既に時遅し・・・

  洋服に作り直してしまったり、

  買い取りの業者さんに

  段ボールひと箱いくらで

  売ってしまわれた後の事だったのです。

 

  きもので出かけてみると、

  意外と評判が良く、

  ご本人もまんざらではない

  ご気分だったようです。

  あとから、後悔しても、

  間に合わないのです。

  

  お着物のご相談は、きもの蔵人みやもとまで