今年も一年お付き合いいただきまして、

 誠に有難うございました。

 最後になって、かなりさぼってしまいましたが、

 来年も、ぽつぽつと、

 私の経験した色々な事を 

 書いていきたいと思います。

 良い年をお迎えくださいませ。

 

 あるお客様がお住まいを立て直されることになり、

  おきものの一部をお預かりすることになりました。

  

  普段お召しになられるおきものは、

  お姉さまのお宅や仮住まいの家に

  置いておかれるとしましても、

  思い出深いお品や喪服などを中心に

  お預かりすることになりました。

 

  中には、お姑さんご自身のご結婚式の時に

 お召しになられた白無垢一式と

 ご本人様の白無垢一式が含まれていました。

 

 普段のおきものは、

 虫干し代わりに着るなんてこともありますが、

 白無垢はそうは参りません。

 

 実際にお召しになられたのは、

 お式の間、

 それもそう長い時間では

 なかったのだと思いますが、

 やはり、

 箱に入れてしまいっぱなしになっていた

 おきものや箱せこなどの小物は、

 糊のせいと湿気のせいで

 黄色いしみ(これをほしと呼びますが)が

 出てしまっておりました。

 

 絹のお品は時間の経過で少しずつ

 黄変致します。

 

 しかし、

 親御さんがお作り下さったお品物は

 思い出もあり、

 なかなか捨てられない物です。

 

 そのままお預かりすることに致しました。

 

 また、お子様が生まれた時に

 退院する時とお宮参りの掛け着の下に

 お着せする抱き着も一緒にありました。

 

 しかし、こちらは、

 よだれや汗のせいでしょうか?

 もっとシミの具合がひどかったので、

 次の代のお孫様には、

 新しいものをお作り頂くことにして、

 処分させて頂くことに致しました。

 

 そして、ビックリしたのは、

 掛袱紗の数々。

 

 代々の方々のお結納の時に、

 その品々の上に掛けられたと思われる

 九十センチメートル程の正方形の大きな袱紗。

 

 鶴亀だったりおめでたい柄の織物や

 刺繍の物そして染の物もありました。

 

 このようなお品は、

 今まであまり見たことが無く、

 ご結婚のお祝いにご親戚の方から

 贈られた旨の但し書きが添えられていました。

 

 こちらも、シミやカビが見られましたので、

 布地を傷めないように最適のお手入れを

 京都の職人と相談して

 進めさせていただくことにしました。

 

 お引越しをすると、

 それまでは動かすこともなかったお品も

 動かしますし目を通します。

 

 それで、生活の垢のようなものが

 落ちる気がしますので、

 模様替えや引っ越しは良いものです。

 

 でも、そうでなくても、

 おきものや帯や小物などは、

 時々、干さないまでも

 たたみ替えなどして目を通していただくと、

 シミや汚れに気が付き、

 早めの手当てが可能となります。

 

 是非、気候の良い時になさってみてください。

 

 お気に入りで、

 しょっちゅう使う帯揚げを、

 最近季節の変わり目に

 生け洗いに出すことにした所、

 しわも伸びてすっきりし気持ちよく使えるのを

 私も実感しています。

 

 そんな事もいかがでしょうか?

 

 お着物のご相談は、きもの蔵人みやもとまで