喪服の事について、お話ししたいと思います。

 

 どちらのおうちの箪笥診断に伺っても、

 喪服がおありです。

 

 どうしたら良いの?とおっしゃいますが、

 喪服の再利用は、なかなか難しいものです。

 

 黒は、

 上に何の色を載せてもそうそう色は変わりません。

 

 また、抜いても鼠色にしか抜けません。

 

 もともと、日本の喪服は、白かったのです。

 

 終戦後、

 皇室の第一礼装は、ローブデコルテ、

 つまり洋服となりました。

 

 そして、西洋では、喪服は黒です。

 

 従って、

 日本の喪服も黒になったと言われております。

 

 いまでも、地方では、

 白の五つ紋に白の帯

 (中村勘三郎さんの告別式で、

 奥様がお召しになっておられました)を

 喪主の方はお召しになられます。

 

 そして、もともと、喪服は羽二重が主流でした。

 

 しかし、羽二重は、しわになりやすく、

 色あせが早く擦れも生じやすいのです。

 

 もちろん、

 羽二重でも最高級のお品ですと

 そのようなことは無いのですが、

 薄いお値ごろの物となりますと、

 退色も進みやすいです。

 

 そこで、台頭して参りましたのが、

 縮緬です。

 

 こちらですと、お値ごろの物でも、

 そこそこしわになりにくく、

 黒色も羽二重に比べますと深くなります。

 

 譲り受けた中に、どちらもございましたら、

 縮緬の方を残されることをお勧めいたします。

 

 また、とてもしっかりした羽二重の場合は、

 紋を金泥などで隠し、

 刷毛引きをすることによって

 黒地の訪問着や名古屋帯に

 造り替えることも可能です。

 

 喪服にする帯は、

 注意が必要です。

 

 時々年代物の場合、

 黒を染める前の紅が

 戻っているものがあるからです。

 

 お葬式と言うものは、突然やってくるもので、

 普段点検などしない場合が多いですが、

 あるから大丈夫ではなく、

 時々目を通しておいて頂きますと、

 いざと言う時に慌てずに済みます。

 

 以前、お着付けを承って出張しました時

 (当店であれば代わりの物を

 ご用意も出来たのですが)

 どう拝見しても赤っぽい黒い帯を

 出してこられた時には、

 「宜しいですか?」と確認してしまったほどです。

 

 喪主の方は、

 お通夜も告別式も喪服に黒い帯をされますが、

 弔問される方は、

 お通夜は慌てていて間に合いませんでしたと

 言う気持ちを込めておきものは

 色紋付で黒の帯をして伺います。

 

 告別式には、喪服に黒い帯をします。

 

 最近は、

 色々なきまりが緩くはなってきましたので、

 あまり厳しく考えなくても宜しいかと思いますが、

 喪主の方は一周忌までは喪服を

 三回忌からは色紋付、

 帯はどちらも黒い帯です。

 

 グレー等に夢などと描いてある帯は、

 参列者の方もしくは七回忌以降の

 喪主の方が宜しいかと存じます。

  

   お着物のご相談は、きもの蔵人みやもとまで