15年前の夏、お店を改築しました記念に、

 総絞りの白生地を、

 ご希望のお客様皆様にプレゼントさせて頂きました。

 

 総絞りの白生地ってどんなものかと申しますと、

 大きめのお弁当箱の様な形になっております。

 

 それを、ご希望の色に染めさせていただき、

 納品させて頂きました。

 

 と申しましても、

 そのお弁当箱の様なものを染めるとどうなるか、

 皆様にはなかなか思い浮かばないと思いますが、

 勿論出来上がりの見本がございまして、

 皆様はその中からお好みの物をお選び下さいました。

  

 ご希望の方には、

 刺繍を入れたりぼかしにしたり、

 帯を合わせて下さったり、

 大変ご好評を頂きました。

   

 絞ったままで染めまして、

 絞った糸を

 布を一気にぐっと引いて切ります。

 

 その時に生地が破れないほどの

 良い生地であること、

 そして、その絞った糸が弱ってないことが、

 美しく染め上げるのに大切な事です。

 

 最近はあまり見かけなくなりましたが、

 昔は、どのお宅にも、

 男物の兵児帯と言うものがありました。

 

 総絞りのお品物としては、

 象徴的なものです。

 

 これを伸ばしてみますと、

 たいそうな幅も長さもあり、

 名古屋帯に直したり羽織などにも

 出来るものもあります。

 

 絞りには、二通りありまして、

 機械絞りと手絞りです。

 

 機械絞りと言いますと

 機械がグルグルっと絞るのを

 想像されると思いますがそうではなく、

 絞る所の布を持ち上げるための

 棒のようなものが立っている道具を

 使って絞るのが機械絞り、

 生地を手で持ち上げ

 手で糸を巻きつけ絞っていくのが

 手絞りです。

 

 振袖に良くあるもので、

 生地自体に絞った様な加工をし、

 そこに、絞り柄を染めて

 あたかも総絞り風に仕上げると言う

 方法があります。

 

 当店では、もちろん、

 正直にそのような振袖だとご説明し、

 お値段もお手ごろになることを

 お伝えします。

 

 染疋田と言って、

 手で疋田柄の型を彫り、

 絞りのように染める工法がありますが、

 これはこれで難しい技術で、

 お値段もそうお安くはなりません。

 

 ですから、

 染がお安いと言う事ではありませんが、

 日本でしかも手絞りで細かく絞った

 総絞りのおきものは、

 やはり、かなりの高額品となります。

 

 もっとも、現在、

 日本の方が絞ったおきものは、

 とても数が少なくなっているのは

 まぎれもない事実で、

 しかも、

 絞りを仕事としている人の高齢化も

 かなり進んでいますので、

 この様なお品物も、

 いずれ無くなっていくのだと思います。

 

  お着物のご相談は、きもの蔵人みやもとまで