おきもののお直しに欠かせないのが、繰り回しです。

 

  おシミのあるおきものの仕立直しの場合には、

  この方法で、かなり改善されます。

 

  以前にもお話したと思うのですが、

  もう一度、詳しくお話ししたいと思います。

 

  おきものの表地は、全部で八つの部品から出来ています。

 

  衿がどうしようもなく汚れてしまい

  しみ抜きしても取れなくなってしまった場合、

  まず、掛け衿だけを洗い張りして反対に付けると言う方法があります。

 

  汚れた部分が衿を折った場合、内側に入るようになります。

      

  それも汚れてしまった場合、

  地衿と掛け衿両方を解いて、

  地衿から掛け衿分を取り、

  汚れた掛け衿を残りを地衿とつなぎ、

  汚れた方が下前に来るようにします。

 

  そして、その次は、

  その掛け衿を反対向きにかけなおすと言う事になります。

 

  身頃はどうしても上前が汚れやすいものです。

 

  衽は、仕立直しの時に簡単に、

  上前と下前を掛けなおすことが出来ます。

 

  身頃となりますと、

  そのまま交換しても上前は右側の後ろ身頃になってしまいますから、

  目立つのは変わりません。

 

  そこで、帯下に入ってしまうところで切り取り、

  下前と取り換えるそこも汚れているなら、

  袖と取り換える事が出来ます。

 

  袖と取り換えるには、汚れが前側になるように取り換えます。

 

  ただし、袖口近くにシミが来ないことが条件です。

 

  何故なら、人は、手を広げて歩くことはほとんどありません。

 

  ですから、袖の前側と言うのは、他の人の目に触れにくいのです。

 

  でも、袖口近くは目立ちます。

 

  それなら、そのシミが前側の袖付側に来るように

  工夫することが良いと思われます。

 

  また、おきものの場合、

  良くお召しになると(特に紬の八掛が付いている場合)

  裾が切れてしまうことがあります。

 

  その場合、解いて洗い張りをして仕立て直しをするとなると、

  少々お金がかかってしまいます。

 

  身丈が五分ほど短くなっても宜しいようなら、

  裾で短くしてしまうという方法があります。

 

  身丈の足りないお着物を、お仕立直しする時に、

  お太鼓結びしかしないという前提でのことですが、

  おきものを後ろ身頃をおはしょりの下に入る部分で裁ち、

  似かよりの生地をそこに接ぎお太鼓の下に入る所で元の生地に接ぎます。

 

  衿肩空を新たに作り元の衿肩空は、

  前の帯下に入る位置で閉じます。

 

  そうすることで、かなりの身丈を延ばすことに成功します。

 

  しかし、その分、衽も足りなくなりますので、

  衽も帯下に入る位置で下前の衽の生地を接ぎます。

 

  下前の衽には、同じく、別布を接ぎました。

 

  少々無理のあるリメイクとなりますが、

  かなり、満足な出来上がりでした。

   

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