お客様からお母様が残された絽刺しの作品の生かし方をご相談承りました。

 

 絽刺しとは、刺繍の一種で、別名公家絽刺しとも言われており、

 三本絽と言われる絹の絽布に、

 やや太めの絹の撚糸を使って図案を刺し埋めていくものです。

 

 古く平安の時代には公家や武家の子女の道楽とされていたと言われます。

 

 明治以降、大正、昭和と年々隆盛となり

 上流夫人の間で趣味の手芸として珍重されましたが、

 材料費もかかり、その使い道も限定されるため、

 最近では、あまりされる方がいなくなってきています。

 

 その、貴重な思い出の品を生かすために、

 私が提案させて頂いたのは、帯です

  

  

 しっかりした塩瀬の帯地を引き染めでお好きな色に染め、

 そこに、絽刺しを綺麗に縫い付けてもらうのです。

       

 塩瀬の名古屋帯は、単衣の時期にもお使いいただけます。

 

 また、塩瀬の帯は、

 名古屋帯でもその柄行きによっては色紋付までお使いいただけます。

 

 ましてや、絽刺しを付けた帯となれば本当に立派です。

    

 太鼓の部分と腹の部分に絽刺しを綺麗に縫い付けて出来上がった帯は、

 それぞれに美しく素敵でした。

 

 この世に一本限りの帯。

 しかも、お母様の思いがこもった帯です。

 

 代々引き継いで行っていただけたらと願っています。

 

 絽刺しをお着物の柄にするには、

 よっぽどしっかりした生地の物でないと柄の部分が垂れてしまいますので、

 あと他に使うと致しましたら、バッグでしょうか?

 

 これ何なのかしらと思われるような和風の物が見つかりましたら、

 ご相談くださいませ。

 

 生かす方法を考えさせていただきます。

 

 お着物のご相談は、きもの蔵人みやもとまで