「 ありがとう 」
たしかに、妹はそう言った。
「じぃ。わかるけぇ?」
とうちゃんの問いかけに
じいちゃんはこう、こたえる。
「アぅ。あウ~。アゥわ」
「なんかゆうてるみてえらろもの。わからねや。
ならのこと、わかってるんがか、わからんがか」
とうちゃんの口調はおだやかだ。
心配になるぐらい、やわらかい。
鼻には流動食用のチューブ。
口には、酸素マスク。
じいちゃんは、寝てるようで、
起きてるようで、あいまいな感じだ。
印象的だったのは、瞳。
あかちゃんのようであり、としよりのようでもあり、
どうぶつのようで、やっぱりにんげんで、
退化したような、もしかしたら、進化したような、
ニセモノのようで、ホンモノのようで、
信じちゃいないけど、
たとえば、いるとして、
カミサマ、
じいちゃんの瞳は、
イノセンス、
やっとおもいだしたことばだ、
無垢とか、そういうんだっけ、
とにかく、キラキラしていた。
ふしぎなんだ。
瞳は、ひかりにあふれてはいた。
でもね、ちからをかんじない。
あいまいなかんじ。
うん。
じいちゃんは、なにをみてたんだろうか?
なにもみてなかったんだろうか?
キラキラした瞳は、あいまいな感じだ。
今日はここまでにします。
また明日ね。
では、また。