ネネさん出産物語。キム目線 vol.1 | 喫茶きむ

どもどもキムです。

 

栗城くんが亡くなって、

否が応でも生命に意識が向きます。

 

そんなにたくさん話したことがあるわけじゃないけど、

それでもやっぱり大きいね。

 

格好いい人だった。

優しい人だった。

めっちゃ普通で、案外かっこ悪いところも含めて、

めっちゃ格好よかった。

 

たくさん見せてもらった。

 

ありがとう。

ありがとう。

 

 

 

 

生命のことを感じてたら子どもたちが生まれてきた時のことが

頭に浮かぶから、

 

 

子どもたちの誕生の時のことを書きたいと思います。

 

 

 

うちは子どもたちみんな自宅で生まれてきてる。

 

助産師さんもいない。

 

家族だけの出産。

 

 

 

長女ネネさんが生まれてきたのは11年前。

 

 

吉村医院の元婦長さんの岡野さんの話を聞いていた僕たちは

自然に産めたらいいね♫とは話し合ってた。

 

 

 

当時は小豆島に住んでいたので、

病院で産まないとなると、島の外の助産院で産むという選択肢しかなかった。

 

 

なので、小豆島の自宅まで来てくれる助産師さんを探した。

 

 

すると、岡山のある助産師さんがもしかしたら来てくれるかもしれない。。。

という事を聞いて里恵と二人で会いに行った。

 

 

とってもとっても素敵な女性で、

里恵さんは会えた嬉しさに泣いてしまうほど。

 

 

自宅で産むのはそんなに気軽なことじゃない。

いろんな事を覚悟しなければダメだよ、というような話をしてくれたと思う。

 

 

そして覚悟が決まったら改めて連絡する話だった。

 

 

素敵な助産師さんに会えて、

二人で喜びながらワクワクしながら帰ったのを覚えている。

 

 

それでも里恵さん、

なぜか何日経っても助産師さんに連絡を入れない。

 

 

待てど暮らせど連絡しない。

 

 

何度「早く連絡しなよ」と言っても連絡しない・・・。

 

 

「どうしたの?なんで連絡しないの?」と聞いても、

「う〜ん・・・。」と歯切れが悪い。

 

 

 

1ヶ月も連絡しない日々が続いて、

お腹は大きくなってくる。

 

 

 

何を考えているのかさっぱりわからないから、若干怒り気味に問いただした。

 

 

「何考えてるの?何で早く連絡しないの?

 どうするつもりなの??」

 

 

 

すると里恵さんは、言いづらそうに言いだした。

 

「実は。。。

 助産師さんを呼ばずに

 私とキム、二人だけで産みたい・・・。」

 

 

 

はぁ??

何を言っちゃってるの??

 

 

となると同時に、

 

 

やっぱり。。。

 

という思いもあった。

 

 

 

なぜなら助産師さんのところから帰ってきたタイミングで、

ある本を読んでいたから。

 

 

それは橋本ちあきさんって方の書いた

「自然に産みたい」という本だった。

 

 

まさにこの本が僕たちの運命を変えた1冊。

 

 

ちあきさん夫婦はもう30年も昔からマクロビオティックを実践していて、

自分たちだけで5人の子どもを迎え入れた人たち。

 

 

もう生き方そのものが本当に素敵で、

確かにその本はとっても素敵な本だったのだ。

 

 

確かにその本はとっても素敵で、

ちあきさん夫婦はとっても素敵。

 

 

でも、それはそれ。

 

 

彼らは30年以上も自然と共に暮らしている人たち。

 

 

当時の基本的には木村家は玄米菜食。野菜は自分たちで作ったものや、

近所のおばちゃんから頂いたもので無農薬。

 

 

でも、そんなにストイックにやっていたわけではなく、

里恵さんはチョコが好きだし、俺はカラムーチョが好き(笑)

 

 

その程度。

 

 

もちろん僕は反対し続けた。

 

「絶対ヤダ」

「練習もしないのにエベレストに登るようなもの」

「何かあったらどうするの?」

「ってゆーか昨日もチョコとか食べてんじゃん」

「里恵が一人で何かやるのはいいけど、お腹の中の子は俺の子、

 勝手なことは許さない」

 

って感じ。

 

 

 

それに対して里恵さんはひたすら

 

「二人で産む」

「キムが反対するなら私一人で産む」

「出産するのは私。だから決めるのは私」

 

 

その繰り返し。

 

何度も何度もその繰り返し。

 

会話にならない。

 

 

「何で?何で二人なの?」

「せめて1回出産を経験して、二人目からならわかるけど」

 

 

「二人で産みたいから」

「キムは関係ない。産むのは私」

 

 

「いやいや俺の子でもあるから。関係ないわけないから!」

 

 

「何で私のやりたい事邪魔するの?」

 

 

「いやいや俺の子の命は俺が守る責任があるから!」

 

 

「私は病院も行かない。助産師も呼ばない。」

「キムが協力しないなら一人で産む」

 

 

という会話が永遠と続く。

 

 

 

全く進展のないまま、2ヶ月が過ぎ、

お腹はどんどん大きくなる。

 

 

何度トライしても会話にならない。。。

 

 

どんな切り口で会話を試みても、「2人で産む」の一点張り。

 

 

そこで里恵さんにご提案。

 

「とりあえず一人で籠って瞑想してみれば??」

 

 

これは久しぶりに里恵さんの心に届いたようで、

10日間里恵さんは部屋に引きこもることに。

 

 

 

朝、玄米と味噌を里恵さんの篭る部屋の外に用意して鐘を鳴らす。

 

 

里恵さんがトイレで部屋の外に出るときも鐘を鳴らすことで、

お互いに出会わないようにする。

 

そんなルールを決めて、里恵さんの瞑想生活がスタートしました。

 

 

そんな10日間の中で自分も自分を確認していくことが出来ました。

 

 

何を言っても会話にならない。

人の話を全く聞かない。

自分の意見が全く届かないことに腹が立ち、

ケンカばかりの毎日。

 

そっか、二人で産むことじゃなくて、

その里恵の態度が嫌なんだ。

 

 

お互いに

こんな不安もあるよね。

リスクもあるよね。

 

そんな当たり前な会話もできないことが何より嫌だったんだ。

 

 

そっか。

 

基本的には里恵さんの願いは叶えてあげたいんだ。

 

 

そっか。

 

応援したい気持ち、

願いを叶えてあげたい気持ちが、

ちゃんと自分の中にあるんだな。。。

 

 

それがこの10日間の1番の気づきでした。

 

そして、

10日間の瞑想を終えた里恵に対してなら、

自分はちゃんと里恵さんを信頼しサポートできる。

 

と感じたのでした。

 

 

よし。

瞑想が終わった後、里恵さんが決めた答えを自分の答えにしよう。

 

 

そう決めることができました。

 

 

自分が全責任を持って、この子を迎え入れる。

絶対に無事にこの子を迎え入れる。

 

 

そう腹が決まった瞬間でした。

 

 

 

瞑想が終わった里恵さんはやはりフラットな里恵さんとなって

帰ってきました。

 

 

 

瞑想前は

 

絶対に二人で産むんだ!

それ以外の選択は間違っている!

 

という雰囲気の里恵さんから、

 

 

二人で産みたい。

そんな願いが自分の中にある。

 

というシンプルな里恵さんになっていたのでした。

 

 

その日から、二人で出産に向けての日々がスタートしました。

 

出産のためだけの日々。

 

 

たくさん本を読んで、

毎日3時間の散歩をして、

美味しい体が喜ぶものを食べ、

良い気持ちで過ごす。

 

 

ただそれだけの日々。

 

 

ただ自分と、里恵と、お腹の子が、世界が、

生きているということを感じる日々。

 

 

それはそれはシンプルで幸せな日々でした。

 

 

そんなある日、

ふとやたらと家中を片付けたくなる衝動がやってきました。

 

 

気がつくと里恵さんもひたすら片付け続けてる。

 

 

それが終わると家中をお掃除。

 

家中を拭き拭き。

 

廊下もふきふき。

 

家具をどかしてふきふき。

 

窓を外してふきふき。

 

トイレ(ボットン)に手を突っ込んでふきふき。

 

ご飯とトイレと寝る以外はずっとお掃除。

 

何と気がつけば3日間!!

二人でひたすらに家のお掃除をし続けたのでした。

 

 

 

 

そして迎えた6月26日。

 

 

 

朝、目を覚ますと、

 

信じられないくらいに

家がキラキラ輝いているんです

 

 

 

 

経験したことのないくらい、

家に神聖な空気が漂ってるんです。

 

 

 

 

ここは伊勢神宮か?というくらい凛とした空気。

 

とにかく神々しいの。

 

 

 

我が家が(笑)

 

 

 

ザ、聖地。

 

 

 

そんな聖地な家から、里恵さんがいつものようにお散歩に出かけました。

 

 

そして3時間後。

 

 

 

帰ってきた里恵さんが言いました。

 

「キム。おしるしが来たよ」

 

 

 

続く。。。