色気ある男の外見力コーチ木村公一です。
スーツのフロントを構成する重要なデザインパーツに襟がある。
そしてラペル(下襟)とカラー(上襟)が縫い合わされて、
この襟の縫い線をゴージラインと呼ぶ。
ゴージとは峡谷や喉のことで、
このゴージラインはV字のくぼみ(ノッチ)を形成したり、
山を登って頂(ピーク)までのびたり。
これがノッチドラペルやピークトラペルと称される襟の形。
ゴージラインは、スーツがまだ立て襟だった時代の喉のラインで、
ジャケットの襟を立てるとそれがよくわかる。
襟の形はノッチとピークのほかに、
フィッシュマウスやディナージャケットに用いられるショールカラーがある。
ビジネスで着るなら、一般的なノッチドラペルが正解。
ピークトラベルはフォーマル度が増すので、
ビジネスには不向きと考えたほうがいいと思う。
ラペルの太さとゴージラインの位置や角度は、
スーツデザインのトレンドを映す目的にされやすく、
常に変動がある。
しかしスーツのベストバランスは大体決まっているので、
その基本ルールを知っていると売る側に翻弄されなくなる。
ラペルの幅は細いとモード寄りになり、
現在では8.5センチぐらいが適切。
ちなみにラペルが太くなったらネクタイも太く、
「ラペルの幅とネクタイの大剣の幅をほぼ等しく」がスーツのルール。
そして一般的に長身の人はゴージラインの位置が低いスーツ、
小柄の人はゴージラインの位置が高いスーツがベター。
これはゴージラインが高いと視線を上に集め、
バランスよく見えるから。
昔のイタリアンスーツなどでは、
ゴージラインが極端に低めのものが多く見られたが、
背が低い日本人には重心がを低くした服は似合わず、だらしなく映る。
またラペルが切れ込むノッチのラインが肩のラインと平行に近いものを選ぶと、
よりきれいに映る。
鎖骨が左右に伸びるデコルテラインの役目をこのゴージラインが果たしてくれるから。
舞台やショーでもデコルテラインのバランスがいいととても魅了的。
それだけ胸元は、見る人にメッセージを発信する部分なのだと思う。
「胸襟を開いて」語り合うという喩えもあるように、
オープンマインドを示す場所でもある。
下の二枚の写真を見比べても、
ゴージランの位置が高ければ礼儀正しく
緊張感のあるような雰囲気になり、
ゴージラインが低いとカジュアルな雰囲気
緩い感じがする。
この辺が男のスーツスタイルの
面白さであり難しさだと思う。