スーツスタイルの顔、正面は胸元のVゾーン。
そして、スーツの顔、胸元を飾るVゾーンの額縁が上着の衿、ラペル。
料理も絵画も、人間の顔も周りの、額縁が大切なんです。
懐石料理は器、絵は額、人間の顔はヘアースタイルで印象はガラリと変わる。
そしてスーツのVゾーンの開き、ズボンの太さ、ウエストの絞り、Yシャツの襟の幅、ネクタイの大剣の幅までが、この額縁にあたるラペルで変わってくる。
もちろん太くなるとそれにつられて太くなっていく。
細いものは若者のスタイル、太いと年配者として認識されているが、それはあまり関係はない。
ただの一つの流行であるに過ぎない。
基本は一番太いラペルの位置で8.5~9.センチ、ポケットの位置は胸ポケットの四分の一から三分の一くらいを覆うくらいが、最もバランスよく見える印象を与える。
ブランドによっては、ラペルの端に細かなステッチが施しているものもみられるが、見た目の高級感を出すための細工にすぎない。
ラペルはソフト感、ライト感、立体感が大切。
まずは裏から優しくアイロンをあてて、ふわりとさせるだけで生まれ変わる。
テーラーの手仕事の確かさは、まずラペルのしなやかさに現れる
落合正勝