- のはなしし/宝島社
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内容紹介
大事な第一話のタイトルが「ああああ」って、そんないいかげんなことでいいのだろうか?(本人談)。絶対におもしろい伝説のエッセイ。待望の『のはなしし』完成!「ああああ」の話から「んかきそこねもの巻」の話まで。笑える話はもちろん、ちょっと泣ける話、あーわかる、わかる!って話など、どこから読んでも全然飽きない、バラエティ豊かなエッセイ集。
本書を読んでいくうちに、どこかで聞いたような、既読感を覚える話が時折出てくる。
おそらく、著者がradioで過去に話し、聞いたことがあったから。
ナインティナインにも言えるように、この二組に対する興味にはブランクがある。
共通するのは深夜ラジオのパーソナリティーであったこと。
しかし、学生生活を終えるとともに僕は深夜ラジオから卒業してしまった。
卒業といえば話は良いかもしれないが、深夜にラジオを聴くような余裕がなかったというのが本当のところである。
あれから干支が一周するほどの時間が経った。
世の中にはスマートフォンなるものが出回り、
僕自身その文明に利器を手にしてから、たくさんのラジオ音源をインターネットの世界で見つけることになる。
農作業という単調な作業の中、
懐かしさも相まって著者の声は仕事のお伴となり、空白の期間を埋めていった。
なにより有難かったのは、もっとも聞いていた二組が未だに同じようにその場にいてくれたことである。
よって本書「のはなしし」においても、内容が10年以上前のエッセイの追筆であろうとも、
リアルタイムで話しているかのように読み進むことができた。
著者には様々な顔がある。
とてもシャイで自分をひけらかさない。
褒められることを怖がり、冗談で誤魔化す。
江戸っ子っていうのはこういう人なのかなと漠然と思う。
熱い風呂に入ってもヤセガマンする人みたいな。素直じゃないあの感じ。
そんな著者の文章は逆に素直な印象を受ける。
とても真っ直ぐで、元落語家の遺伝子がそうさせるのか、
しっかりマクラがあってフリがあって最後にオチをつける。
またオチを期待していると、見切ったようにハズシてくる。
一番印象に残ったのは『「路地」のはなし』だ。
とても短く、オチもない。
オチがあるものと読み進めてきた終盤に視点をそらされる。
心に残る。
何かが心に突き刺さる。
そんな感じの読後感。。。- のはなしし/宝島社
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