北海道の富士 -3ページ目
私は心の中で「いいぞ!いいぞ!」と叫んだ。

旅の後半になってようやく運が向いてきたようだ。

私の願いが通じてか、単なる天気の気まぐれか、船が香深港に着くころには、利尻山頂の雲はほとんどとれていた。

これが見たかったのだ。

港には、宿のお兄さんが迎えに来てくれていた。

お兄さんは笑って、「お帰りなさい」といった。

私は宿に入る前に桃岩展望台に寄ることにした。

まだ4時前だったし、充分に太陽も高かったので、荷物だけ宿に持っていってもらえばいいと思った。

今度こそはポスターで見たような景色が見れるはずだという思いを秘めて。
レンタカー屋に着いたのが14時半。

車を返し、追加料金とガソリン代を払って、急いで港へ向かった。

礼文島香深港行の出港は14時55分。

出港20分前で、すでに乗船は始まっていた。

船は私にとってもはや御馴染みとなりつつあるプリンス宗谷丸であった。

鴛泊から香深までは如分、天気がよかったので、ほとんど甲板で過ごした。

ほかの乗客の多くも甲板に出て、遠ざかる利尻島を眺めていた。

その利尻富士の山頂にかかる雲は、少しずつ形がくずれて消滅しつつあった。
ウニはエゾバフンウニという種類だそうで、名前だけ聞くとまずそうだが、新鮮でプリプリしていてうまかった。

この店には他にも「ウニゼリー」なるものがあってちょっと気になったが、不気味なのでやめた。

さて、ウニの話はここまでに、そろそろ鴛泊へ戻るかというところから。

そこから鴛泊まではまだ20キロほどあった。

急がなければならない。

見るべきところはすべて終わったので、あとはひたすら鴛泊へ走るだけだった。

右に海、左に雲をかぶった利尻の富士を見ながら、道道を飛ばした。
利尻富士はこのオタトマリ沼あたりから見る姿が、一番鋭角的で険しく見えるといわれているのだが、その頂上付近はすっぽりと雲に覆われていた。

ちょうど白くて丸い座布団をかぶせたような格好であった。

ついでにここのレストハウスに「信ちゃん寿司」という寿司屋が入っていて、3個入りのウニにぎりを1000円で売っていた。

思わず買って食べた。
目的地であるオタトマリ沼に着いた。

オタトマリ沼は利尻島最大の沼で、爆裂火口の底が泥炭地になったもので、沼の周囲には湿原が広がっている。

原生林に囲まれた姫沼とは対照的に、明るく広々としている。

沼の周りにはやはりエゾカンゾウやヒオウギアヤメが咲いている。

自生しているもののほかに、植えられているようなアヤメやショウブもあった。