すみません。
とりあえず最終話なんですが、
お、終わりませんでした( TДT)
というより思ったより長くなってしまったので、
エピローグという形でこのあとのお話を載せる予定です。
なので、
もう少しおつきあいいただけたら嬉しいです。
まだ読んでない方はこちらからどうぞ
ではではつづきをどうぞ~
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――次の日
登校途中の道で龍の後姿を見つけ、
風早が声をかけた。
「龍!おはよ」
「ああ、しょーた。おはよう」
いつもと変わらない龍の返答。
でも、なんとなく昨日の龍とは違う雰囲気を感じる。
それはどことなくうれしそうな。そうでないような。
相変わらず読みづらい龍の表情に、
一瞬躊躇したものの、
思い切って風早は聞いてみることにした。
「・・・あれからなんかあった?」
「なんで?」
「いや、なんとなく」
聞いちゃまずかったかな?
少し龍の表情を伺うようにチラリとみた。
そんな風早を気にする様子もなく、
龍はあくびをひとつしてから、
素直に口にする。
「・・・夜、千鶴に会った」
その言葉がどこかうれしそうな雰囲気だったので、
「じゃあっ!」
風早は龍の気持ちが伝わったのかとおもい、
期待のまなざしを向けた。
が、
「・・・いや」
「!?」
「勝手だって、思い切り袋投げつけられた」
意外な言葉が返ってきたので、
「・・・え・・・ええっ!?・・・???」
思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。
じゃあ、なんでそんなにうれしそうなんだ?
そう顔に書いてあるような表情をした風早を見て、
龍は少し笑う。
「何も言われずに避けられるよりは100倍いい。・・・いつもの千鶴だったから」
龍とちづの間にしかわからない、長い間近い存在だからこその感覚に、
「・・・龍」
風早は二人の関係の深さを改めて感じたのだった。
一方ちづは
教室に入ると真っ先にあやねと爽子の元へ向かった。
「ごめん!昨日、あたし変な態度とっちゃって」
と、手をあわせる。
もちろんあやねも爽子もそんなことはまったく気にしてはおらず、
むしろ、ちづを心配する言葉をかけてくれたので、
ちづはうれしさのあまり、じんわり涙ぐんだ。
爽子とあやねはようやくいつものちづらしさが少し戻ってきて、
顔を見あわせて微笑む。
だが、そのあと、
風早と龍が教室に入ってくるも、
ちづは龍と会話をすることができないままでいた。
昨日のことを龍に謝ろうと思いながら、
未だ気まずさをぬぐいきれず、
どうやって切り出していいかわからず悩んでいたのだ。
ちづの目線はチラチラと龍を常に気にしていて、
明からに、昨日のようなまったく目を合わせない態度とはまるで違う雰囲気に、
あやねはなんとなくちづの心に変化があったことを察知したが、
あえてそれ以上はつっこまないようにした。
(たぶん、あの二人なら大丈夫でしょ)
なんとなくそんな確信があったから。
――そして、そのまま午後になり、
体育の時間になる。
女子はバレーボールで体育館
男子はグラウンドでソフトボールと分かれて授業を受けていた。
試合の合間5分の休憩が入り、
ちづとあやねと爽子は水を飲みに体育館の外へと出る。
「ふぅ~~~あっちぃ~な~」
体育の授業はちづの独壇場だ。
いつものようにはりきって活躍していたちづは
体育着をパタパタさせながら水をガブガブ飲んだ。
「ちづちゃんすごい活躍だったもんね」
すごいよ!顔を高揚させながら興奮気味に爽子が言った。
「あはは、そーか?でも、やっぱ身体動かすといろいろスッキリするわ~!」
ちづが笑顔をみせたので、
爽子も自然と笑顔になった。
すると、
「ねえ、なんかグラウンドの方騒がしくない?」
あやねがタオルで汗をぬぐいながら、グラウンドの中のフェンス際に集まる男子の輪を発見した。
「え?」
爽子もちづもつられて見る。
と、誰かが担架で運ばれていくのが見えた。
それに付き添うようにピンと風早らしき姿もある。
「うちのクラス?」
「何かあったのかな?」
「ちょっと行ってみよ」
3人は駆け出した。
そして、
近くの金網越しからグラウンドにいる男子に向かってちづが叫ぶ。
「何かあったの?」
その声に振り返ったジョーが
「あ、吉田っ!龍が怪我したっ!!」
と叫んだ。
「龍が!?」
瞬間的にちづの表情が強張り、
サッと頭から血の気がひいていく。
ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン
心臓が激しく鼓動を繰り返す。
「えっ真田君が??」
「なんで!!」
爽子もあやねもそれを聞いて顔色を変えた。
「キャッチャーフライ取りに行って勢いよくフェンスにつっこんじゃってさ。」
「!?」
「今、ピンと風早が保健室に連れて行って・・・」
ジョーの話を聞き終わらないうちに、
ちづは駆け出していた。
――龍の元へ。
「あっちづちゃん!!」
「ちづ!」
あやねと爽子も慌てて後を追った。
ちづは頭が真っ白になったまま
走って、走って、走った。
息が絶え絶えになりながら保健室の前まで来る。
と、
扉の前に風早の姿を見つけ、
勢いそのままに風早の元へ駆け寄った。
「風早!龍は!?」
風早は顔を曇らせたまま
「今、治療してる。」
唇をかんだ。
「大丈夫なのかよ!」
「とりあえず、ピンが今付き添ってる。中に入るなって・・・」
それを聞いて、
ちづは
息がつまるように胸が苦しくなる。
時間がもどかしい。
今すぐ中に入って確かめたい。
逸る気持ちを抑えるように、
ギュッ
ちづはこぶしを握り締めた。
しばらく
何もできない無力さに苛まれながら、ただ立ちつくすことしかできないでいると、
後ろから、
ようやく追いついた
あやねと爽子をはじめ数人のクラスメイトもやってきた。
そのとき、保健室の扉が開いてピンが出てくる。
「ピン!龍は!?」
ちづはピンに駆け寄る。
あまりのちづの勢いにピンは目を丸くしながらも
「あ?、なんだおめーら。女子も授業中だろ?」
いつもの調子のまま言った。
「んなんこといーから!龍は!!!!」
まっすぐ見つめてピンの表情を伺うちづ。
「・・・・・」
すると、ピンは無言のまま横を向く。
「ピン!!」
青ざめたちづはピンに詰め寄った。
次の瞬間
「ジョークだジョーク」
ガハハハハと笑いだすピン。
「ちょっと、それ笑えないから!!」
あやねがすかさずキッと睨んだ。
だけど、ピンはすぐに真面目な顔になり、
「結構な勢いでつっこんだけど、軽い脳震盪起こしただけだ。心配いらねーよ」
と言ったので、
「そっか・・・よかった」
風早がほっとしたように息をついた。。
あやねと爽子の後ろにいたクラスメートもそれを聞いて
よかったよかったとざわつきはじめる。
「あ、でもお前ら入るなよ!」
ピンがまるで心を読んだかのように釘をさした。
「え?なんで?」
「今は寝てるから、しばらくそのままにしといてやれ」
その言葉に、
風早も爽子もあやねもうなずくしかない。
が、
「・・・」
ただ、ちづだけは表情を固くしたまま立ち尽くしていた。
「とりあえず、龍はもう心配いらねーから、貴様ら全員授業にもどりやがれ~~!!散れっ散れ~~~!!!」
オラオラと
ピンがみんなを追い立てるようにしてその場から立ち去ろうとしたが、
ちづは動けない。
「・・・・・」
その様子に気づいたピンは
横目でちづをチラリと見ると、
「あ、吉田、お前家近いよな。特別だ。お前授業いいから龍の荷物ここ持ってきて起きたらそのまま送ってやれ」
そういい残してドカドカと足音をさせながら戻っていった。
あやねがピンの背中を見送りながら、
「・・・なに?ピンのやつ、たまには気きかせること言うじゃん」
へぇ~と関心したような声をだす。
「ちづちゃん、よかったね」
爽子の言葉にも
「・・・・・」
無言で俯くちづ。
「ちづ・・・」
「ちづちゃん」
心配になりあやねと爽子がそっと近づく。
あやねはちづの肩にぽんと手を置くと、
「・・・龍とちづの荷物、あとでもってきてやるから、ちづあんたは龍のそばにいてやりな」
そう言って優しく微笑んだ。
「うん、それがいいよちづちゃん!」
爽子もぎゅっと力をこめてちづに言う。
二人の言葉を聞いて、ようやく顔をあげたちづは、
「・・・矢野ちん、爽子・・・ありがとう」
それだけ言うのが精一杯という顔で、か細く笑った。
保健室に入り、、
ちづは保健の先生に事情を説明して、付き添う許可をもらった直後、
電話が鳴った。
「吉田さん、ちょっと席はずすから何かあったら職員室にきて」
そういい残し、先生は慌しくバタバタ外へと出て行ってしまう。
一人残されたちづは、
シンと静まり返る保健室を見渡し、
ひとつだけしまっていた窓際のベットのカーテンをそっとあけた。
いつも見慣れている龍の寝顔がそこにある。
その姿を見て、
ほっとして小さく息を一つ吐くと、
ベットの横にあるイスに、力が抜けたように座った。
少しあいた窓から、
秋の乾いた風がすぅ~っとカーテンをなびかせ、ちづの髪を揺らす。
しばらく龍の寝顔をただぼーっと見つめているうちに
「・・・・龍・・・ごめん」
なぜか小さな言葉がこぼれてしまった。
と、同時にとたんに涙が溢れてくる。
「・・・なんで泣いてんの?」
そのとき、龍がゆっくりと目を開けた。
「龍・・・」
龍は2、3回目をしばたたかせてから、
1度空を見渡し、
ちづの方に目線をやると、
ゆっくりと身体を起こす。
「心配かけんな、バカッ!!」
涙をゴシゴシとぬぐいながら、
ちづはこれでもかという声で龍に向かって怒鳴った。
「あ~そっか、フライ捕りに行って・・・」
まだ少しボーっとしながら、
どこか他人事みたいに言う龍に
「・・・バカ」
ちづはもう一度、消えそうな声で言った。
せっかくぬぐった涙がまた溢れてくる。
「・・・ははっ、悪りぃ」
そう笑ってから、龍はちづに触れようと手を伸ばしかけたが、
途中でピタリと止め、
思いとどまったようにまた、自分のほうへと戻した。
それを見たちづは、ハッとして
一瞬龍を見たあと、複雑な表情を浮かべた。
少しの間があって、
「・・・龍がミスるなんて珍しーじゃん」
再びちづが口を開いた。
「そうか?」
「身体は?」
聞かれて、龍は首や肩をまわしながら一通り確認する。
「ああ、別になんともない」
龍の言葉を聞いて、
初めてちづは心の底から安心できた気がした。
そして、
ちづは、
さっき発した言葉をもう一度繰り返した。
「・・・ごめん」
「千鶴のせいじゃないだろ?」
「昨日のこと・・・」
「ああ、あれか」
「あんな風に言うつもりじゃなかったのに・・・」
「別に気にしてねーよ。」
しかし、ちづは大きく左右に首を横に振る。
「あたし、今まで龍のこと、自分が一番よくわかってたつもりでいたんだ。・・・でも、なんにもわかってなかった・・・あたし以外のみんな気づいてたのに・・・あたしだけ気づいてなかったんだって・・なんか・・・なんかそう思ったらさ、
悔しくて・・・ムカついて・・・。龍に怒ってたわけじゃない。本当は鈍かった自分に腹が立ってたんだ」
両手をギュっと握り締め、いつになくしおらしくなってしまったちづに
龍は優しいまなざしを向ける。
「言ったじゃん」
「?」
「俺の好きなタイプ、『鈍くて単純なやつ』だって。」
そう言ってフッと笑う。
ゆっくり
顔を上げたちづに向かって、
「そんなの千鶴に決まってる」
きっぱりと言い切った。
「・・・龍」
ちづの心は激しく揺さぶられた。
でも、ちづの抱いている気持ちを知らない龍は
「でも、別に今すぐどーこーなろうだなんて思ってねーよ。・・・だからもう気にすんな」
そう言って軽く笑った。
――そんな、簡単じゃないはずなのに・・・
龍があきらかに自分に気を使って言ってるその言葉を聴いて、
ちづの目からまた涙がぽとりと一つ落ちていった。
伝えたい言葉がある。
でも、素直になれないからなかなか想うように口から言葉が出てきてくれない。
自分がもどかしい。
(違う・・・違うんだよ龍・・・あたし・・・あたしも龍のこと・・・)
一瞬、また素直になれない自分が顔を出す。
でも、
今しかない、今言うしかないそう思った。
しばらく沈黙してから、
ちづは意を決して、顔をこれ以上ないくらい顔を赤くしながら、
どうしていいかわからず
そっと、龍の袖をつかんだ。
「千鶴?」
龍は不思議そうにそのつかまれた袖を見る。
すると、
搾り出すような声で
「・・・・すきだよ龍」
そうつぶやいた。
嫌いなわけがない。好きに決まってる。
でも、ちづは龍の気持ちにこたえられるほど自分の気持ちに自信がもてないでいた。
昨日までは――
でも、今なら言える。はっきりとわかる。
「!?」
龍は思いもかけなかったちづの言葉に目を見開き、耳を疑った。
「・・・すきだって」
「・・・・」
今度は聞こえるようにもう一度言う。
その言葉を聴いても龍は反応できない。
しばらく沈黙が部屋の中を支配した。
とうとう
無言に堪えられなくなったちづが
「・・・なんか言えよ」
そう言ったけれど、龍からの返事はなかった。
代わりに
何も言わないままちづの方に手を伸ばし、
一瞬、躊躇しながらも
ぽんぽん
頭に触れる。
「ハハッなんだよそれ・・・子供じゃねーんだから・・・」
乾いた笑いを浮かべてちづが龍を見るものの、
「・・・・・」
あいかわらず何も言わずに黙り込む龍。
ちづは
これ以上沈黙されると羞恥でどうにかなりそうだった。
「・・・だから、なんか言えって」
またジワっと涙が溢れてくる。
言い終わるか終わらないかの瞬間、
龍はちづの腕を片手で自分の方にそっと引きよせた。
トンッ
龍の胸の中にちづの顔がおさまった。
「!」
ドキンドキンドキンドキン
鼓動が重なり合って、波を打つ。
「・・・・」
「・・・・」
今度は二人で無言になった。
でも、この間のように突き飛ばしたりはしない。
ちづはただじっと身をまかせたままだ。
しばらくしてから
「千鶴、意味わかって言ってる?」
頭の上で響く、少し低い声。
ちづはそれを聞いて
「・・・もうこれ以上言わねーよ」
笑った。
と、
次の瞬間
龍は包み込むように、
確かめるように
今度はきつく強く、ちづを抱きしめた。
抱きしめられた龍のその腕が、少し震えているように感じる。
ちづの目から何度目かの涙が頬を伝った。
でも、それは今までのような涙ではなく、
溢れる気持ちが涙となって龍の服へと染み込んでいく。
そして、
ゆっくりと
ギュッと強く
龍の背中に腕をまわした。
頭の中が痺れていくような、喉の奥がツンと痛むような感覚に眩暈がする。
あんなに
変わってしまうことが怖かったのに、
今まで、
何を怖がっていたのだろう?
何に怯えていたんだろう?
もう、わからない。全部、全部どうでもよくなってしまう。
初めて知った。
ここが、
こんなに心地いい場所だったなんて。
初めて知った。
重なり合う気持ちが
こんなに嬉しいものだったなんて。
傾きかけた西日に照らされ壁に浮かび上がった影は、
ひとつとなって、
しばらくそのまま動くことはなかった――
【エピローグへつづく】
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龍ごめん、
なんかいろいろごめん。
結構、突き飛ばされるは投げつけられるは
フェンス激突だわ踏んだり蹴ったりな状態で・・・
ほんとごめん(m´・ω・`)m
最初に言いましたが、
長くなってしまって
終わらせることができなかったので、
エピローグがあります。
よかったら最後までもう少しおつきあいくださいませ。
【そのままエピローグ を見る】