http://wired.jp/2012/05/04/3m-cloud-library-lends-not-only-e-books-but-also-e-reader-hardware/


あの3Mが電子書籍分野に参入 – 貸出可能な電子書籍端末も

3Mのような文具・オフィス用品メーカーが電子書籍市場に参入するのは奇妙に見えるかもしれないが、実際、同社の図書館との関係は40年にも及ぶ。

3Mは「クラウドライブラリー」で電子書籍レンタルとEリーダーのビジネスに参入する。(写真:3M)


セロハンテープや「ポスト・イット」で有名な3Mが電子書籍のレンタルビジネスに参入する。同社は米国時間25日、米国内の一部図書館で電子書籍レンタルサービス「クラウドライブラリー」のベータ版を開始。このサービスでは、図書館利用者が館内にある端末やオンラインから電子書籍をレンタルすることが可能になる。

電子書籍のレンタルというコンセプト自体はそれほど新しいものではない。米国の多くの図書館では「オーバードライブ」というシステムをつかって、すでに電子書籍のレンタルが可能になっている。3Mの新サービスがこれらの先行サービスと異なるのは、各図書館が3Mの開発したEリーダーを購入して、これを貸し出すこともできるという点。

3Mによれば、クラウドライブラリーには現時点で40社の出版社から出された10万タイトルを超える蔵書ラインナップがあり、これらの電子書籍はEリーダー「Nook」やiOS、Android OS、Windows、OS Xなどの各端末でも専用のアプリケーションで読むことができるという(ただし、AmazonのKindleは入っていない)。また、3Mはレンタル促進のために利用可能な書籍のチェックや検索ができる端末を各図書館に設置している。

電子書籍の流通量は増加し続けている。(チャート:サンフランシスコ公共図書館のデータ)


電子書籍ビジネスが書籍の売上に著しい影響を与えてきたように、そのレンタルも公共図書館の在庫や調達に大きな変化をもたらしている。サンフランシスコ公共図書館(The San Francisco Public Library)によれば、同図書館が運営する電子書籍ライブラリーを系列図書館のひとつとして計算すれば、ひと月あたりの貸出数は26ある系列図書館の中でも8位になるという。

3Mのような文具・オフィス用品メーカーが電子書籍市場に参入するのは奇妙に見えるかもしれないが、実際、同社の図書館との関係は40年にも及ぶ。3Mの自動返却機(Automated Material Handler)は図書館の返却アイテムのチェックや分類に利用されており、RFIDシステムは書籍の追跡に役立っている。また同社では、忙しい利用者が地元の図書館ですばやく貸出・返却を行えるようにするセルフチェックアウト・システムも扱っている。