恒例の「いい夫婦の日」フィクションです。
お暇でしたらどうぞ。
妻の本音
『テレワークと言っても世話する相手が増えるだけ。ストレスが溜まるわ~』
夫のモノローグ
『明らかに、お邪魔虫の扱いだな。新婚の頃はそんなことなかったのに』
妻 『掃除しても動かないし、昼になったら、メシは?と聞いてくる。ウザイったらないわ』
夫 『昼も夜も外食続きだったから、手料理を楽しみにしていたのに。露骨に嫌な顔をするな』
妻 『学童保育の仕事前に、お友達とお茶するのが楽しみだったのに。家に夫がいたら出かけられないわ』
夫 『学童保育を終えて帰ってくると、いつも不機嫌だな。やめるわけにはいかないのか』
妻 『彼の単身赴任で、家で待つ、という習慣は消えたわ』
夫 『単身赴任を終えたら、途端にテレワークばかり。夫婦相和すといきたかったんだけどな』
妻 『一人暮らししている子どもたちが帰って来る時だけが家族らしくなれる』
夫 『息子も娘ももちろんかわいい。同じくらい妻も大事なのに。うまく伝えられないな』
妻 『学童保育で迎えに来るパパさん。偶然昼間街で会い、お茶しただけなのに何かなれなれしいわ』
夫 『妻が買い物に行っている間、無言電話が何度か、かかってきた。あれは?』
妻 『学童から帰る時、休みだったあの子のパパが校門で待っていた。怖い』
夫 『妻の様子がおかしい。帰宅したらドアにすぐチェーンをしていた』
妻 『娘に相談したら、第三者がいる前ではっきり言わないと駄目よ、だって。でも保護者の父兄だし』
夫 『娘から連絡があった。ストーカーめいた父兄がいるらしい。どうすべきか』
妻 『校門を出るところでまた話しかけられそうになった。するとクラクション。夫が車で迎えに来た』
夫 『車の距離じゃないけど、迎えに行って良かった。慌てて消えたあいつ、確か役所の人間だ』
妻 『夫から、働くのは大変だな、応援しているから、の一言。素直にうれしい』
夫 『この笑顔が一番大事だ。これからも守っていきたい』
夫は後日、役所の窓口に行き、交付資料を請求した。
応対したあのパパさんに「妻がいつもお世話になっています」と伝えた。
もちろん、ストーカーじみた行為はやんだ。
妻は、コロナ後を念頭に、
夫に料理の腕を伝授しようと張り切ってレシピを書いている。