似たもの同士 | スイーツな日々(ホアキン)

スイーツな日々(ホアキン)

大好きなスイーツと甘い考えに彩られた日々をつづっていきたいと思います。

恒例の「いい夫婦の日」のフィクションです。

お暇なときにどうぞ。

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○誠子の独白

私たちって、いつから不仲になったのかしら。

もともとあまり、仲良しじゃなかったけど。

この春、彩加が全寮制の高校に進学し

家を離れてからね、口をきくのも億劫になったのは。

子どもがいないと、こんなに会話が減るなんて。

共働きの私たち。

もらってくる給料が、同じくらいだから

生活費も折半している。

男の優位性を発揮できない夫は

ささいなことで私に突っかかってくる。

何かギャフンと言わせたいわ。

そうだ、11月22日がある。

私たちは、彩加が生まれてから

クリスマスプレゼントは子どもにだけ渡すことにし、

お互いへの贈り物は誕生日と

いい夫婦の日に渡すことに取り決めていた。

あの人、私に黙っているけど、人間ドックを受けるらしい。

最近、大好きなスイーツを口にしないもの。

よ~し、ここは、奮発して、

ラ・メゾン・デュ・ショコラの箱詰めチョコレートを

贈ろう。

食べられないから、がっくりくるはず。

「あら、食べないの?じゃ、私が」と

目の前で口に放り込んでやるから笑う

○正樹の独白

どうして、俺のやり方にいちいち口を挟むんだろう。

結婚以来、家事も分担してきた。

正直言ってパスタ料理は俺の方が上手だ。

洗濯物の畳み方だって、効率的なのに、

見つけにくいとか言い出して。。。

これじゃ、会話も途切れがちだ。

彩加がいなくなって、もう一度

やり直そうと思ったけど、

誠子にその気はないらしい。

あの子が嫁いだら、熟年離婚になるかも。

今度のいい夫婦の日は、

誠子が落胆する顔を見たいな。

文句は言わせないようなもので。

最近、自慢の髪をばっさり切って

ショートのボブに変えた。

最近、スイーツを控えたおかげで、

懐に余裕があるから

accaのカチューシャを贈ってやろうかお

リボンを外せるタイプにしようかな。


22日の夕方。

帰宅した2人は、それぞれのプレゼントを渡した。

内容を知った2人は、同時に目を輝かせていた。

正樹は思った。

「俺の人間ドックが昨日だったのを知ってたのか。

スイーツ解禁に最高のプレゼントだ」

誠子も微笑みながら考えた。

「短くしたら、ちょっと下を向いて仕事をすると

前髪がたれてきて、うざかったけど、

これなら、その心配もないわ。

昔、わたしの額の形がいいって、褒めてくれたっけ」

事前の「期待」とは逆に、

相手ががっかりしない様子をいぶかりながら

2人とも笑顔になった。

そこへ彩加が帰宅した。

9月、10月の連休は

部活や学園祭の準備で帰宅しなかったから

夏休み以来だ。

「仲直りしたのね、よかった」

2人の不仲は、娘にも伝わっていたのだ。

夫婦は、彩加が誕生したときの幸せな気持ちを

思い出していた。

さらに、おずおずとしたプロポーズと

それを受け入れた喜び。

「生涯、共に歩く相手だ」と思ったんだった。

「大丈夫?いい年して見詰め合っちゃって」

娘の声に、2人はわれに返った。

「今夜は、スキヤキよ」

「やった~!」

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賢明なフォロワーさんのご推察どおり、

オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」を

パクリました^^;