君を思い出す日はない | スイーツな日々(ホアキン)

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♪キミのこと思い出す日なんてないのは

キミのこと忘れたことがないから


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Ayuの曲を聴いていると切なくなるばかりだ。

どうしてあんな男を好きになったんだろう。

彼に怒りをぶつけるよりも自分を責める自分がいる。


「いつだってキミを思っている。

それでいいだろう?」

そんな言葉に逆らえなかった。


彼から来るメールはせいぜい週に一度。

それも日常の出来事を書き連ねているだけ。

私への思いはない。


確かに「メールにあまり『好きだ、好きだ』って書かないで」と言ったのは私だけど。

直接言ってほしかったからだ。

それにしてもこんな無味乾燥な内容を書かれても返事のしようがない。

だから、段々メールの頻度が減ってきたんだ。

そうだ、きっかけは私だった。


仕事の関係で遠くに住む彼。

毎日が忙しいのも分かる。

だったらせめて、おやすみの電話かメールぐらいくれても良さそうなものだ。

いや、電話は困る。

家族が不審に思う。

夫が私のメールを盗み見することはまずないだろうから、メールなら大丈夫なのに。


今日は七五三。

娘のお祝いはもう済ませてある。

毎月15日は彼がこちらに来る日。

写真スタジオの都合もあったが、もしかして彼に会えるかもしれないと思い「15日は休もうか?」という夫の話を断った。

なのに…。


彼は「仕事の関係で抜け出せない、ごめん」とメールしてきた。

仕方ない。

仕事で来ているんだし。

そう自分に言い聞かせてもどこか納得できない。


もともと先行きのない恋。

秘密の恋。

心が、そして身体が、彼を失いたくないと言っているとしても、あきらめるべきなのだろう。


あ、電話だ。

え?公衆電話?

「もしもし」

彼だ。

「ごめん、スマホの電池切れでさ」

「ああ」

「今大丈夫?」

「話しているでしょ?」

「そうだよね、無理なら出ない」

「うん」

「今日、七五三じゃないか」

「ええ」

「お嬢さんとお祝いランチでもするのかと思って」

「今、実家で祝ってもらっているわ。私は邪魔者で、お留守番」

「そっか、あのさ」

「何?」

「キミのこと好きだから」

「…」

「大好きなんだ、例えようもなく」

「そんなこと…」

「電話で言う分にはいいだろう?」

「ええ。それに…」

「うん?」

「私も好きよ、あなたが」

「気持ちは一緒だね」

「そうね」


話しながら、彼に肩を抱かれている感触があった。

温もりがあった。

心の中にも。


♪涙がこぼれ落ちないように

滲んだ空を見上げているよ

(浜崎あゆみ「HANABI」)