大人が
バリエーションを踊る
ということには、
いろんな考え方があると思うけど、
現時点での私の個人的見解を書きますね。
その前にバレエご存知ない方のために解説すると、「バリエーション」とはバレエにおけるソリストの踊りのことで、オペラで言えば主役などが歌うアリアに相当する、高難度の踊りです。
バリエーションを踊る目的が、
作品世界を表現したい、であれば
簡単振付はとても良いと思います。
姫や妖精になりきって演じたい、とか、
大好きな曲を美しく表現したい、とか。
この場合、最終ゴールは
本番の舞台でいかに美しく踊るか、です。
それには高難度の技は抜いた方が良い。
表現に力を注げるから。
一方、私がやりたいのは、
バリエーションをネタにして
練習すること、です。
期日を決めないとダレるから
○月○日の本番に向けて、と
一応設定しますが、
なんなら本番なんてなくたって良い。
メインは練習することなんだから。
で、こういう目的の場合、簡単振付だと
あまり成長が見込めないんですよ。
(あくまでも私の場合は、です)
難しい課題を自分に課すと、
それをどうしたら達成できるか
死ぬほど考えるんです。
昨秋、6年ぶりにバリエーションを
練習した時には、
プリエとタンデュと軸を極めるべく
死ぬほど考えました。
そーなんです。
できないことをできるようにするには、
基礎中の基礎を
やりこまないとダメなんです。
「プリエとタンデュと軸が大事なんて
当たり前じゃん」って思うでしょ?
でもね、普段の練習だけだと
それを「骨身にしみて」は
感じてないんですよ。
なんなら
「あー、今日も先生に注意されちゃった」って、ヘラヘラして終わってたり。
それが、「バリエーションのこの技を
やるためには絶対必要」となると、
もう必死で取り組まざるをえなくなる。
お尻に火がついてる状態だと
火事場の馬鹿力が出ます。
私、昨年11月までの半年間で
タンデュの質が爆上がりしたと思う。
(当社比です)
これがね、簡単振付にして
ポワント片足で立つところを
例えば両足で立つとする。
あるいはバレエシューズで立つとする。
それだと、そんなに苦労なくできるから
「死ぬほど」は考えないのよ。
立つは立つでも
「一番シビアな立つ」を想定することが
大事なんだな。
それと、私の場合は、
昔できてたことを
人工股関節でもできるようにしたい、
というのもあります。
できないこと、足りないところは、
そのままリハビリの課題に直結するので
「シビアに立つ」はとても重要。
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結果的に、本番までに
難しい技が仕上がらなくても
それはそれで良いと思うの。
だって死ぬほど考えて努力したことは
次にいきるから。
だから、私は
「大人だから」を言い訳にして
「難しいことはやらなくて良い」
という考え方には納得できません。
まぁ、あまりにできなさすぎて
見苦しいのもアレですけどね。
私はそれを発表会とコンクールとで
分けて考えてます。
発表会は教室全体での
祝祭感を壊さないよう、
技術的なチャレンジ度は抑え目にして、
表現に注力。
コンクールは個人で出るから、
先生の面子を潰すこともなく、
周りは知らない人ばかりだから
チャレンジするチャンス。
費用が安いから失敗しても悲しくないし。
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表現力を重視するも、
技術力向上を目指すも、
どっちもアリだと思います。
そして、どちらを目的にするにしても、
バリエーション練習を始めると、
漫然とレッスンしてちゃダメだな、
と気づく。
気づいたら、もうそれだけで
もうけもの!、って思わない?
話は変わるけど、
私、フィギュアスケート好きなんですが、一番の推しは
ジェイソン・ブラウンなんですよ。
4回転はほとんど跳ばないけれど、
氷上で舞う姿は涙が出るほど美しい。
私が目指したいバレエは
ジェイソンです。
本当は表現系が大好き。
が、一方で、
4回転アクセルに挑む羽生君にも
目が離せません。
私は元々競技ダンス出身なせいか、
バレエやるにしてもアスリート気質が
やっぱり出ちゃうのかもね。
とにかく、
60代で人工股関節だけど、
バレエの技術力向上を諦めてません。
諦めたら、
終わりじゃん。