今回は、
人工股関節手術を検討中の方に、
ぜひ読んでいただきたい記事です。
今まで私は、再三、
「人工股関節手術は
医師を選ぶべし」と
書いてきました。
それは、下手な医師の手術を受けて
泣く思いをした方々を
数人知っているからですが、
中でもこの
タンツベアさんの経験は
ぜひ皆さんに知っていただきたく、
リブログさせていただきました。
ぜひご一読下さい。
タンツベアさんと私との関わりは、
手術から数日後の彼女からの
メッセージでした。
「手術した方の脚長が
異常に長くなっている」と。
正直言って、最初、
私はさほど気にとめませんでした。
なぜなら術脚が長く感じるのは
人工股関節手術あるあるだからです。
参考までに、
これは私の右脚手術後の写真です。
これは、手術の侵襲により
股関節が機能不全を起こして
いるからですが
それも一時的なこと。
たいていはリハビリで
脚の長さは揃ってきます。
私の場合は右脚が1.5cm長く感じたのが、
その2ヶ月後に左脚を手術したら
今度は左脚が長く感じるという事態に。
ところが、
てっきり両脚伸ばしたのかと思いきや、
その年の健康診断では
全く身長が伸びてなくてビックリしました。
実際には長くなっていないのに
長く感じてしまう
機能的脚長差(自覚的脚長差)は
人工股関節手術あるあるです。
なので、タンツベアさんの話も
たいしたことないだろう、と
最初は思っていたのでした。
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ところがその後の彼女のブログで
レントゲンを見、
また、執刀医の話を読み、
事の重大さに気付きました。
タンツベアさんの脚長差は、
気のせいなどではなく、
構造的脚長差(解剖学的脚長差)
だったのです。
彼女の執刀医は、
脱臼のリスクを回避するために、
あろうことか
元の脚よりも長くなるよう
手術してしまったのでした!
ここで注意したいのは、
彼が関節包温存術という術式を
とっていたことです。
脱臼しにくい手術として
それまでは前方アプローチMISが
最良と言われてきましたが、
さらにそれよりも脱臼の心配がない
ということで注目されている術式です。
切除するので、
術後3ヶ月は脱臼しやすいということで
動作制限がありましたが、
関節包温存術では術後早期から
安定性が高いというメリットがあります。
が、ここで問題です。
本来、脱臼を防ぐのは、
最適なインプラントを選んで
正確な位置に設置することです。
関節包で支えるというのは、
あくまでも最適&正確ができたうえでの
オプションに過ぎません。
なのに、この医師は
基本の最適&正確を怠ったばかりか、
伸びてしまった関節包に合わせて
大腿骨を伸ばしてしまった。
また、骨盤側のカップの位置も不正確で
内股になるようにつけてしまった。
患者の元の骨格と
まるで違う脚にしてしまったのです。
不適切な手術が
行われたことを悟った私は、
そこからはタンツベアさんに
他の医師のセカンドオピニオンを
取ることなどを勧め、また、
病院事情に詳しい女医のjoyさんにも
入っていただき二人で見守って来ました。
(その経緯はコメント欄に残っています)
ひどい手術をした執刀医は
患者に嘘をつき続け、
説明責任も果たさず、逃げました。
ありえない手術、
あってはならない手術でした。
その後のタンツベアさんの
リカバリーへの苦難の道のりは、
彼女のブログを
読んで下さい。
人工股関節の手術を
やり直すことは叶わず、
逆側の健脚の骨を切って伸ばすという、
新たな手術で現在入院中です。
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さて、人工股関節手術の失敗例を
書きましたが、
誤解して欲しくないのは、
関節包温存術が
良くないということ
ではありません。
動作制限なく、早期離床できる、
とても良い手術と思います。
(成功してダンスやスポーツに
復帰している人はたくさんいます)
ただし、くれぐれも
良い医師を選んで下さい。
最適なインプラントを選び、
正確な位置に設置すること。
この基本ができない医師に
身体をまかせてはなりません。
言い換えれば、
術前計画が甘い医師は
ダメ、ということです。
気になるのは、
関節包温存術をとる医師が
近年急激に増えていることです。
それ以前の前方アプローチMISは
技術的に難しいから普及しにくかった、
との話もあります。
関節包を切除する術式の場合、
最適&正確であることが
脱臼を防ぐ全てなので、
前方アプローチの名医と呼ばれる方々はそこに命をかけています。
これは一つの案ですが........、
関節包温存術で手術を受ける場合、
「もし関節包が痛んでいたら
どうしますか?」と
聞くのもテかもしれません。
「その場合は切り取っちゃいます」と
答える医師なら、
関節包に頼らなくとも脱臼しない
最適&正確に自信のある医師、と
言えるでしょう。
とにかく、
医師を厳しく
見極めて下さい。
タンツベアさんの事例は、
最新の術式で、
超有名私立大学病院で、
ナビゲーションシステムも
使っていたのに
起こった悲劇でした。
二度とこのような
悲劇が起こらないことを
願います。
参考までに、
過去記事も貼っておきます。