前回に続き、人工股関節の話です。

まずは、術後3ヶ月の
タツミンさんのブログをご覧下さい。

人工股関節でバレエ復帰された

お二人の笑顔です!


タツミンさんは以前私に、
バレエができる人工股関節手術について
問い合わせのメッセージを下さいました。

そこで私は、
自分が手術を受けた船橋整形の他に
もう一つ、北里研究所病院を提案しました。
「ダンサーのReikoさんがそこのK医師の手術を受けてるので、ブログ読んでみて」と。
そこからのお二人のご縁です。

Reikoさんはプロのダンサーとして
見事に復帰を果たしてらっしゃいます!

しかも回復が素晴らしく早い。
別アカウントでの最新記事では
術後1ヶ月での
ダンス動画を上げてらっしゃいますが、
これは驚異的な早さです。

これは北里のK医師の術式なればこそ。
船橋の老沼医師の術式では
術後3ヶ月までは運動禁止です。

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ここで、人工股関節の術式について
あらためて考えてみましょう。
北里の高平医師のインタビュー記事が
参考になります。


人工股関節の脱臼を防ぎ、
かつ回復を早めるためには
なるべく筋肉や靭帯などを傷つけない
低侵襲手術が望ましい。
MISと呼ばれる低侵襲手術は
そうして発展してきました。
かつてのお尻側から大きく切開する
後方アプローチから、
より低侵襲な前方アプローチへ。
さらには靭帯や関節包を極力切らない
(あるいは修復する)
前外側アプローチ関節包温存術も
出てきました。

船橋の術式は前方アプローチのMISで、
関節包は全部切除。
なので、関節包が再生してくるまでの
3ヶ月は運動禁止です。

が、関節包(及び靭帯)を切らない
(あるいは修復する)術式なら、
骨頭が外れる(脱臼する)のを
関節包が防いでくれるので、
術後早期からのスポーツやダンスへの
復帰が可能です。

リウマチの私の場合は
関節包自体が病巣なので
切除一択でしたが、
再生するまでの間はとても不安でした。
(通常は運動禁止は3ヶ月ですが、
私の場合は6ヶ月だったし)

なので、リウマチではない
普通の変形性股関節症や
大腿骨頭壊死の方には
関節包温存術を提案したわけです。

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しかし、関節包温存術も
すべてが良いとは限りません。

前傾の高平医師のインタビューから
スクショです。
  ↓

     (以上、インタビューより抜粋)

前方アプローチよりも技術的に易しい、と。
これを読んで気になりました。

実は私は、関節包温存について、
船橋の初診時(2018年10月)に
老沼医師に聞いたことがあるのですが、
「ナンセンス! 
最近そういうことをする医者もいるが、
(温存のメリットには)何の根拠もない!」と、声を荒げて否定されたのです。

前回記事にも書いたように、
脱臼しないかどうか、
術後スポーツやダンスができるかどうかは
医師の技術にかかっています。
最適なインプラントの選択と、
正確な位置・角度に設置すること、
脚長を揃えること。

前方アプローチの技術を磨いてきた
老沼医師にしてみれば、
技術力のない医師が難易度の低い術式で
「最新術式なら脱臼しません」と言うのが我慢ならなかったのかもしれません。
(あくまでも推測ですが)

乱暴な言い方をすれば、
関節包さえ温存しておけば、
多少インプラントの設置が甘くても
とりあえず脱臼はしません。
回復も早いから早期に退院できる。

が、長期的に見てどうか。
設置が的確でないと不具合が出て、
再置換が早まる可能性もある。

確かな技術を持った医師なら
この術式は最強でしょう。

でも、もしそうでない医師だったら?
そしてそれが前回書いたような
ダンサーの動きを理解してないような
医師だったら?

前外側アプローチ関節包温存術は、
2年程前にはわずか300例しかないと
聞きましたが、
2020年11月にはこの術式を行う医師は150人に増えているというのを読んで、驚きました。
  ↓
  ↓こちらを参照
急激な普及です。
早期に退院できる手術は
病院経営にとってもメリットが大きいと思われます。
が、一人前の手術ができるまでには
当然訓練を積むのでしょうが、
全員がクオリティの高い手術が
できるのかどうか...。

もちろん、前方アプローチでも
医師のクオリティはさまざまですが。

要するに、
手術を検討している人は、
術式よりも医師個人の技術力
選んで下さい、ということ。

また、身体の状態によっては
後方アプローチでしか手術できない
方もいるでしょう。が、
後方で行う医師の中にも名医はいます。
「どうせ私の身体では
そこそこの手術しか無理」
なんて考えずに、名医を探してみて下さい。

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どうやって名医かどうか
見極めるか、って?

そこで手術を受けた元患者を
見るのが一番です。

2〜3年前にそこで手術を受けた人が
今どんな歩き方をしているか?
スポーツやダンスに復帰しているか?

病院hpからは見えてこない部分を
見るようにして下さい。

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これはあくまでも素人の私の考えです。
誤解や事実と違う部分も
あるかもしれません。
ぜひ、手術を検討されてる方は、
ご自身でよくお調べになって下さいね。