人工股関節、
4年のブランクを経て、
右脚術後1年11ヶ月、
左脚術後1年9ヶ月。
このところバレエネタが多くて、
股関節症やリウマチの読者の皆さんには
「なんのこっちゃ?」かも。
なので、
今回はバレエ知識ゼロの方のために
トウシューズについて解説しますね。
バレエと言えばトウシューズ。
ですが、バレエやってる人たちは
あまりトウシューズとは言わない。
ポワントと呼ぶ人が多いです。
フランス語でpointe、英語だとpointというその先っぽは、まさに「点」!
で、この「点」は
底面に対して直角なので、
立つとこういうことになる。
180度伸びなきゃ立てないの。
(だからバレリーナの足は地球外生物)
180度に達しない足だと
膝を曲げざるを得なくなるし、
そうなると美しくないばかりか
グラつき要素が増えてしまう。
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そして、ポワントの中の足は、
こうなってます。
(文字通り、地に足が着いてない)
シューズの先端は硬く、足先には
シリコンやウレタンのパッドを
はめたりします。(素足だと痛いから)
いわゆる普通の「爪先立ち」の場合は
足指の腹や肉球部分が
床に着いてますよね?
だからバランス修正ができるけど、
ポワントはそれができません。
だから、
立つ時には、
一発でバランス決めなきゃならないし、
立ち続けるには、
バランス調整力とキープ力が必要です。
つまりね、
ポワントで踊るのは
ほぼ曲芸、ってことで。
竹馬で歩くのに近いと思う。
(竹馬の竹と接地面積ほぼ同じ。)
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さらに、立ち方には2種類あって。
一つめは、ピケ。
竹馬の竹を地面に突き立てるごとく、
空中で足首をピンと伸ばしておいて、
そのまま床に突き刺して立つ方法。
普通に立ってる状態から、
足裏足指の力でぐぃ〜んと
踵を上げて行って立つ方法。
ピケはバランスさえとれれば
さほど難しくはない。
突き刺した足に素早く重心を持っていくだけなので、竹馬と同じ要領です。
(もちろん足首弱いと捻挫するから
竹なみに足を強くしないとアカンけど)
問題はルルベアップ。
全体重を足指足裏の力で
持ち上げなきゃならなくて、
両足ならともかく、片足だと大変。
(ある整形外科医の話では、体重50kgを超えると足に障害が出るリスクが高くなるとか)
足指足裏の力が必要なのは
もちろんだけど、
「持ち上げやすい状態の身体」も必要で。
つまり、
足〜骨盤〜頭がきちんと積み上がって
まとまっていることが必要なので、
筋力だけではなく、
全身のコントロール力と
体幹力が求められます。
どういうことかと言うと、
例えば、1ℓの水をビニール袋に入れて手のひらに乗せると中身が安定しなくて持ちにくいけど、ペットボトルに入れたら余裕で持てますよね?
ぐずぐずに緩い身体だと重くて持ち上がらないけど、芯の通った身体だと軽く上がるわけで。
で、そういう身体を作っていくのが、
バレエシューズでのレッスンなんです。
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通常、初心者もベテランも
レッスンはポワントではなく、
素足感覚の柔らかい布の
バレエシューズで行います。
教師の方針にもよりますが、
そのレッスンを2〜5年続けて
足や身体が出来上がってきたら、
ようやくポワントを履く許可が出ますが、
最初はレッスン後に20〜30分ぐらい
両手でバーにつかまってただ立つだけ。
ていうか、立つ以外できません。
生まれたての子鹿状態だから!
簡単な振付けでも
ポワントで踊れるようになるまでには、
早い人で3年ぐらいかかるかな?
大人から始めた人だと、
10年経っても踊れない人はザラにいます。
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痛いわ、まともに動けないわで、
じゃあポワント履くことに
何のメリットがあるんだ?、
って思いますよね。
確かに、
ポワントを履きこなせない人は
バレエシューズの方がはるかに
上手に踊れます。
ところが、
これを履きこなせるようになると、
バレエシューズではできないことが
できちゃうんです。
これ、フィギュアスケートと同じで、
スケート靴を履きこなせないと
生まれたての子鹿状態だけど、
履きこなせたら
普通の靴ではとてもできないことが
できちゃうという。
ポワントの場合でいうと、
床との接地面積が小さいため、
宙を浮いてるような浮遊感が
表現できます。
妖精やお伽話の姫など非現実の世界は
ポワントで踊るバレエならでは。
また、接地面積が小さいということは
床との摩擦力が小さいから、
回転技がスルスルと回れるわけで。
バレエシューズよりもたくさん回れる。
って話は、あくまでも
履きこなせる人の場合です。
大人から始めた人の場合、
浮遊感どころか、
ドタドタよっこらしょ。
スルスルどころか、
1、2回転も四苦八苦。
それが現実。
でもその現実を
ちょっとでも良くすることができたら
嬉しくなっちゃう。
日常生活どっぷりのオバサンが
非現実の世界にちょっと近づく。
それが面白いから続けるんだよね。
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リウマチ悪化前の5年前の私。
4年のブランクを経て、
今はままだ立つだけで精一杯のポワントだけど、再び回れるようになりたい。
ちなみに体力的に
ポワントで踊れる年齢の上限は
60〜65歳との話もあり。
今60歳だよ。
間に合うのか?