「年を取る」というと、なんだかじじぃ、ばばぁになっていくという感じだが、「年齢を重ねる」、「加齢」という表現より、やはり「年を取る」という表現が今の自分にしっくりくるような気がする。
英語でいうと「Grow old」である。まぁ訳し方にもよるが、「年齢を重ねる、加齢」は「Aging」っていう感じである。まぁもう一丁いうと、「老いる」だと「Getting old」かな?
うちの母に年齢の事を言うと、なぜか「イヤイヤイヤ、全然若いよ!」という。「イヤイヤイヤ」は私の方で、私は良いのよ今の自分の年齢で(笑)。
うちの母は今年89歳になるが、未だに「老い」を受け入れられないでいる。若い頃は女優にスカウトされたり(台詞を覚えるのがめんどくさいので断ったというが)、モデルをやったり、TV局の重役秘書をやっていた時は、国会議員さんや作家さんから「お食事」のお誘いを何度も受けたのよというくらいの、娘も認めるまぁまぁのベッピンさんである。
それが残念ながら上手に年を取れないのである。昔の自分から「Growing」できないのである。
今の自分を受け入れられないのである。
単なるこじ付けになるが、母は「Getting old」派。どんどん年を取ってきて、今までできていた事が出来なくなって、顔や手足にできた皺を嘆く・・・
半面教師ではないが、私は年齢を受け入れて、今出来る事を楽しみたい。嘆いている時間を笑っている時間にしたい。
でも初めからそうだったわけではない。更年期が始まったころから「えっ!?」というくらい、頑張りが効かなくなったり、疲れが取れなかったり、今まで通りに運動しても体重が減らなかったり、頬がたるんできたり、瞼が腫れぼったくなったり・・・と書き出したらきりがない。
一言でいえば、『ショック』だった。それまで自分が年を取るなんて考えてもいなかったから。
どうしよう?何が出来る?どうした私!?戻って、戻って、昔の私・・・みたいな感じ。
当時はもちろん働いていたので、結構自由に使えるお金もあったから、色々試してみた。 が・・・ある時、これはキリがない、そうかそういう年齢なんだ・・・と気がついた。
そこから自分の年齢を受け入れて、上手に老いる事に決めた。といっても簡単な事ではなかった。やっぱり気持ち的には・・・なんていうのかなぁ「悲しい?」「自分が終わった・・・」みたいな、そんな気持ちはあった。でも公言した。「カッコイイ、いやカワイイオバサンになる!」。
自分の事を「オバサン」と認めた。母にはオバサンではない!と未だに言われるが、妹にも孫が4人もいる、そう妹はオバアサンなのだ。友達の多くはおばあちゃん、おじいちゃんである。61歳になった娘を「オバサンではない!」という母。いくら私は今の自分で満足なのよと説明しても、年齢を受け入れられない母には理解してもらえない。私は母に「オバサンではない!」と言われても…別に嬉しくはないのである。
子供がいない私達は、なんていうか親になり、子供を育てるという過程がすっぽ~んと抜けてしまっているので、気持ち的にはずっと30代。考える事もなんとなく30代っていうか、経験のある30代(笑)。なんて表現したらいいのかわからないが、精神面ではずっと青春なのである。だから容姿が60代でも気持ちは超(?)若いまま。
これも自分で気がついて、消化できるまではそう簡単ではなかった。「心の中の葛藤」みたいものがあった。
一番ショッキングだった事は、旦那クンの知り合いの女性に「あっ、お母さん?」って言われちゃった事である。旦那クンはスキンヘッドだが、帽子をかぶると年齢よりめっちゃ若く見える。
それにしても「お母さん!?」いやいや、確かに私は彼より4つ上だが、「お母さん?」。
思いっきり落ち込んだのと同時に、なぜか恥ずかしくなった。そしてその女性がなんと失礼な人なんだと怒りがこみあげてきた。結構このショックから立ち上がるのは大変だった。・・・というか今でもこのショックからは抜け出しきれていない。
昔から年齢より全然若いよ!と言われ続けてきた私は、他人から年が取っているというような事を言われた事がなかった。
時間がかかったが、やっと「他人からみた私は60代のオバサンなんだ」という事に気がついた。そうか、そうだよねぇ・・・大学でたばかりの友達の娘さんや、自分より若い人と話ていても、自分は同じ気持ちで話しているが、相手は「オバサン」と話しをしているんだよねぇ。
だったら上手に年を取っていこう。「オバサン」なんだもん、実際に。無理して若作りして、痛いオバサンにはなりたくない。「オバサンすご~い!」って言われる「オバサン」になろう!
そうそう私はまだまだ成長期。I am and will be aged well! Be happy to grow older!