久しぶりに東大で行われている、臨床育児保育研究会(汐見稔幸先生主宰/木村も会員)の環境部会に出席しました。部屋にはいると、ご無沙汰していたせいもあってか、とっても懐かしく、そして嬉しく感じました。
さて、東間掬子先生(元公立保育園長、現ハッピーパーツ代表)、今日は何を語るのだろう、と思うと、先生の子ども時代の経験(原体験)についてでした。いくつかのポイントがあったのですが、ここでは、特に印象に残った3つに絞って書いてみたいと思います。
(1)うらやましい位のご近所環境
最近、書店では中学生以上を対象にした、職業紹介みたいな本が売られています。しかし、悲しいかな、頭ではなかなか理解できないのが実際の職業(かと言って、本の存在を否定しているわけではありませんで、今の時代、そういう本は必要なんです…)。東間先生のご幼少時代は、戦前だったこともあり、地域にいろいろな仕事場があり、生活に必要なものがどうつくられているか、目の前で見ることができました。仕事を実際にじっくりと見ることには、いくつかのよさがあります。一つは、実生活に役立つということ。東間先生は、風呂の桶を壊してしまい途方に暮れていたとき、桶屋が組み立てていた時のことを思い出して、何とか直し、事なきを得た経験を紹介して下さいました。壊したときばかりでなく、もちろん、いろいろ役に立つことばかりだとおもいます。
二つ目は、将来、自分が何の職業に就こうか考えたときに参考になるということ。具体的にその職業について知っていることは、当然、職業選択の際の生きた参考資料となります。そして、三つ目は、遊びに役立つということ。例えば、ごっこ遊びでは、多種多様な職種が登場するでしょうし、またとても具体的でリアルなごっこ遊びになったと思います。遊びの深まりにおいても、容易だったかもしれません。
職業と住宅が近いということは、様々なメリットがありますが、子どもにとっても、相当のメリットがあることがわかります。しかし、現代の街においては、小売店が減り、町工場が消え、何かのっぺらぼうな感じがしてなりません。
(2)地域集団が健在だった
掬子ちゃん(東間先生のお名前)の住む近くには、異年齢集団が健在で、縦割りでいつも遊んでいたそうです。6年生の「いよちゃん」 は、いつも遊びを仕切っていたそうですが、思い出せば、私の子ども時代も、仕切り屋まではいかないにしても、年の離れた先輩がいて、いろいろな遊びを教えてくれました。キャッチボールができるようになったのは、4歳年上の「たかちゃん」がいたからでした(基地遊びのこつも教えてくれた)。しかし、東間先生と同じで、地域の遊びの先輩は、なぜか、中学校に上がると姿を消すのでした。そして、代替わりしていきます。戦前も戦後も同じなんだなぁと感じました。子どもたち社会の、自然発生的な縦型社会は、上手に育ちの連鎖を生み出すようです。しかし、無理矢理つくった“縦社会”は、どうもうまくいかないようです。学校や保育の現場では、疑似縦型社会作りにあまり走らない方が得策だと思います。
園庭や公園、川の土手などで、自然に混じり合っているときの方が、お互いの実りは多いように感じます。小さい子どもは、年上の“先輩”に憧れますし、先輩たちも、案外上手に年少者とかかわっています。
幼児・児童期にとって、地域はやっぱり大切ですよね。
(3)幼少時の記憶と影響
東間先生も2歳後半の記憶を憶えていらっしゃいましたが、私も実は同じ時期のほぼ同じ場面の記憶をもっています。それは兄弟(姉弟)の誕生時のことです。かなり細かい記憶があり、やはり当時の自分にとってセンセーショナルな出来事だったから憶えているのかなぁ、と感じました。誕生を喜んでのことか、はたまた、お母さんを取られる!という危機感からか…。どうなんでしょう?
記憶というのは、よいものより、悪い?ものの方がよく憶えているものなのでしょうか?親や先生の“えこひいき”場面は特に鮮明に憶えています。東間先生も同じみたいです。私は、小学校2年生の担任が、掃除の際、“長ぼうき”を使わせてくれなかったことが、とっても悔しい思い出として残っています(無理矢理生トマトを口に押し込まれたことも嫌でしたし、九九がなかなか覚えられないからといって、まるで“五人組”制度のように班の連帯責任にさせて、圧力を子ども同士かけさせながらインプリントさせていく方法も嫌でしたが…)。
大人の何気ない言動についても、子どもたちはその意味が何であるか分析しています。自分の記憶を辿っても、やはりやっていましたし、教員時代、自分が担任をしていた学級の子どもたちも少なからずしていたと思います(ひしひしと感じていました)。
久しぶりの臨床育児保育研究会・環境部会。東間先生や、参加されたみなさんの会話で、あれやこれやと考えることができ、楽しかったです。
さて、来月は、木村がしゃべるということになりました…。ご指名にとっても感謝しつつも、一時間半で足りるかどうか…。その日ばかりは、終了後も延長戦を希望しようかな、と思ったり…。いやあ、今日は東京まで出てきた甲斐がありました。みなさんに感謝!なお、6月初旬に、久しぶりにトモエ幼稚園へ行って来ます!
環境部会での様子(東京大学教育学部にて 2005.5.17)