「荊(いばら)の城」サラ・ウォーターズ著・・・★★★★
19世紀半ばのロンドン。17歳になる孤児スウは、故買屋の一家とともに暮らしていた。そんな彼女に顔見知りの詐欺師がある計画を持ちかける。とある令嬢をたぶらかして結婚し、その財産をそっくり奪い取ろうというのだ。スウの役割は令嬢の新しい侍女。スウはためらいながらも、話にのることにするのだが……。
2005年版このミス海外部門1位の作品。
BBCで映像化され、韓国でも本作を原作として映画化されている。
先日読んだジェフリー・ディヴァーの「魔術師(イリュージョニスト)」は大変素晴らしい作品だったのだが、このミスの2位で1位だったのが本作である。
あれ以上に良いといったら、とんでもなく良い作品なんだろうな~、と期待して読んだ。
結論から先に言えば、「魔術師」と優劣つけ難い良い作品で、どちらが1位になってもいい感じだった。
本作はミステリーというよりも、数奇な運命に翻弄された2人の少女と、2人に関わりあった者たちによる人間ドラマ色の強い作品だった。
ストーリーは3部構成で、ネタバレになるので上記のあらすじ以上の事をここでは書けないが、1部の結末で驚くどんでん返しが待っている。
そこからは、ぐいぐいと物語に引き込まれていった。
2人に隠された真実とは?
待ち受ける結末は。。。
著者は1966年生まれ今年51歳の女性作家。
レズビアンで、本作にもそれを感じさせる場面が描かれている。
1998年にデビューし現在まで6冊の作品を刊行し、本作を含め3度ブッカー賞の最終候補になっている。
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