Mr.Children ~詩の世界~ 6 『少年』 | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

ヘタな読書も数撃ちゃ当る

ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

Mr.Children ~詩の世界~ 6 『少年』

数あるミスチルの曲の中で、個人的には名曲NO1だと秘かに思っている曲です。

この曲は、あさのあつこ原作で中学の野球部を描いたNHKのドラマ「バッテリー」の主題歌にもなった作品。

「ねぇそこにいるんだろう?
もう入ってもいいかなぁ?
君のその内側へと 僕は手を伸ばしているよ」

「できるだけリアルに君を描写したいと思う
そのための時間を僕にくれないかなぁ?
どんな名画よりも美しく描くから」


この詩を普通に解釈すると、少年の彼女に対する思いを綴った詩の様に思うが、この曲について桜井は「少年の父親の目線から作った曲」だと言っていたように思う。

だとすると、この詩が描く世界は180度違ってくるし、単なる恋愛歌よりずっと深みを増す。

私はこの曲を聴くと、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を連想する。

「瞼の内側で君を抱きしめると 心臓の鼓動が僕に襲い掛かってくる
そいつをなだめて優しく手なずけるまで
まだ時間がかかりそうなんだ」

「じっとしてなくてもいいんだよ
笑ってなくてもいいんだよ
ただ君のまんまでこっちを向いてておくれよ」


少年時代に漠然と抱える自分自身に対する苦悩や焦燥感がこの詩から感じられ、大人になった少年が「ライ麦畑でつかまえて」を読んだ時の、主人公のホールデンに対する愛おしさの様な感じに似ている。

「「幸せ」はいつだって 抱きしめたとたんにピントがぼやけてしまうから
そうなる少し前でしっかり見続けよう なんて、できるのかなぁ?」


この視点は大人目線で、こういうフレーズは中々書けないですよ。

「僕の中の少年は無防備な笑顔で
自転車を飛ばして君に会いたいと急ぐ
甘えもわがままも すべてをさらけ出してくれていいよ
僕がちゃんと受け止めるよ」


少年というのは、父親の息子ではなく、少年時代の自分自身ではないか、と私は思う。

こんな解釈でよろしいでしょうか?桜井さん。(;^ω^A

詩だけでなく、サウンドもベースの低音が重苦しく響き、ボーカルも桜井特有の語尾を叫ぶような歌い方がこの曲を際立たせている。

この曲のように、ミスチルの曲にはメタファー的作品や言葉が多々あり、奥深く、解釈に労する。

これが、私がミスチルに惹きつけられる所以でもある。




『少年』


歌手 Mr.Children
作詞 Kazutoshi Sakurai
作曲 Kazutoshi Sakurai

足音を忍ばせ 君の扉の前に立ち
中から漏れる声に耳を澄ましたら
驚かさないようにそっとノックをしなくちゃな

ねぇそこにいるんだろう?
もう入ってもいいかなぁ?
君のその内側へと 僕は手を伸ばしているよ

日焼けしたみたいに心に焼き付いて 君の姿をした跡になった
ひまわりが枯れたって 熱(ほて)りがとれなくて まだ消えずにいるよ

瞼の内側で君を抱きしめると 心臓の鼓動が僕に襲い掛かってくる
そいつをなだめて優しく手なずけるまで
まだ時間がかかりそうなんだ

できるだけリアルに君を描写したいと思う
そのための時間を僕にくれないかなぁ?
どんな名画よりも美しく描くから

じっとしてなくてもいいんだよ
笑ってなくてもいいんだよ
ただ君のまんまでこっちを向いてておくれよ

「幸せ」はいつだって 抱きしめたとたんにピントがぼやけてしまうから
そうなる少し前でしっかり見続けよう なんて、できるのかなぁ?

僕の中の少年は無防備な笑顔で
自転車を飛ばして君に会いたいと急ぐ
甘えもわがままも すべてをさらけ出してくれていいよ
僕がちゃんと受け止めるよ

君のその内側へと 僕は手を伸ばしているよ

日焼けしたみたいに心に焼き付いた 君の姿をした跡になった
蝉が死んでいったって 熱りがとれなくて まだ消えずにいるよ

僕の中の少年は汗まみれになって
自転車を飛ばして君に会いたいと急ぐ
迷いも悲しみも すべてをぶちまけてくれたっていいよ
僕が全部受け止めるよ



SUPERMARKET FANTASY [通常盤]/Mr.Children

¥3,059
Amazon.co.jp